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『ローマ人の物語』を完成させた塩野七生。
「学校でギリシャ文明を模倣したのがローマだと教わった。しかし三百年しかギリシャがもたなかったのに、知力で劣るローマがなぜ千二百年も持ちこたえたのか。」 そのヒントのひとつをローマ人が多神教であったからだと塩野氏は語る。 「現実的で開放的なローマ人は、難であろうと神にしてしまい、征服した民族が信じていた神まで自分たちの神々に加えました。征服した属州を友好国にし、英才を登用し、属州出身の皇帝までを輩出した。」 言葉で読むともっともと思うが、近代史にこのように実行できた国はないという。 「近代人はパクス・ブリタニカの大英帝国を帝国と呼びましたが、私にいわせれば一方的に搾取した覇権国家であって、ローマのような帝国ではない。例えば大英帝国はガンジーを要職に登用しようとは考えなかった。」 確かに、その通りだ。 そのため、一時期大英帝国の一員として行動することが正しいと判断していたガンジーが、インド独立の父として活躍するようになったのだった。 「「ブッシュのアメリカ」もローマのような強大な力をもちながら、ローマのようにやろうとは思わない。ローマ皇帝は「父」とあがめられたが、ブッシュ大統領を父と呼ぶ人はいないでしょう。おかげでイラクで泥沼に足をとられている。いま静かに歴史を振り返る必要がありますね。」 歴史を踏まえて、現代・近代のあり方に疑問を投げかける塩野氏の語る言葉は深く印象に残った。 引用:日本経済新聞 2006年12月13日夕刊24面 「古代ローマこそ帝国」 作家 塩野七生インタビュー記事 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年12月15日 09時26分01秒
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