給食の時間
学校の給食について、気になって調べてみました。 MoMo太郎が通っていた大阪市内の公立中学では給食がなかったので、たいてい中学では給食がないものと思っていたんですが、職場の人と話していると中学にも給食があるという人が多かったし、 また、今住んでいる徳之島では学校給食は給食センターで作られて学校に配達されるシステムになっている。岩手に住んでいた時も共同調理するところから給食が学校へ配達されていた、一方、学校の敷地内の給食室で調理しているところもあったりする。 そんなわけで、全国の学校給食事情を文部科学省のホームページにある学校給食実施状況等調査の結果から色々と調べてみました。1.なぜ学校給食は出されるのか 学校給食は、学校給食法(昭和二十九年六月三日法律第百六十号)に基づいて、実施されている。 第三条 この法律で「学校給食」とは、前条各号に掲げる目標を達成するために、義務教育諸学校において、その児童又は生徒に対し実施される給食をいう。 2 この法律で「義務教育諸学校」とは、学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部をいう。 第四条 義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。 第五条 国及び地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない。 つまり、義務教育では給食を出すように努力しなくてはいけない。そして、国や地方公共団体は学校給食が実施できるように補助金などを出すよう努力しなくてはならいということになっていて、それで学校給食が食べられるというわけです。また、学校給食実施状況等調査では、義務教育でない夜間定時制高校においても給食が実施されています。これは、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律(昭和三十一年六月二十日法律第百五十七号)において、夕飯を食べる時間に勉学にいそしむ勤労学生にも学校給食を提供するように努めることが規定されているからです。2.給食の種類 給食には次の分類がなされている。(1)完全給食 給食内容がパン又は米飯(これらに準ずる小麦粉食品、米加工食品その他の食品を含む。)、ミルク及びおかずである給食(2)補食給食 完全給食以外の給食で、給食内容がミルク及びおかず等である給食(3)ミルク給食 給食内容がミルクのみである給食 いずれも共通しているのは、給食にはミルクがついていることで、ミルクとは牛乳が主だと思いますが、学校によっては山羊の乳や脱脂粉乳が出されているところもあるのでしょうか。また、米飯と牛乳というミスマッチといえる給食が出されるのもこのあたりに原因があるのでしょうか。 なお、平成24年度の調査結果では、調査対象となった全国の学校の3万3386校のうち90.7%の学校で完全給食が実施され、補食給食は0.8%、ミルク給食は2.5%となっているました。残りの5.9%の学校では給食が実施されていないそうです。 参考として幼稚園1万2700校のうち62.5%の幼稚園で給食が実施されていますが、内訳として、完全給食は50.8%、補食給食は7.5%そしてミルク給食は4.3%となっているそうです。また、保育園の方は厚生労働省の管轄なので、文部科学省では調べていないみたいでした。3.学校別の給食実施率 平成24年度の学校別の給食実施率を列挙すると、 小学校 実施率99.2% うち完全給食率98.2% 中学校 実施率85.4% うち完全給食78.1% 特別支援学校 実施率85.5% うち完全給食86.9% 夜間定時制高校 実施率80.1% うち完全給食59.1% 全体 実施率94.1% うち完全給食90.7%。このように、ほとんどの小学校で子供たちは学校給食を食べていることになります。 一方、中学校では学校給食を実施していないところがあり、それは都道府県でばらついているようです。4.都道府県別の公立中学校での学校給食実施率 平成24年度の公立中学校での給食実施率が100%となっているのは、青森県、山形県、茨城県、千葉県、富山県、福井県、愛知県、香川県、福岡県および大分県の10県で、中でも千葉県、富山県、愛知県および香川県は完全給食実施率が100.0%。となっていました。 給食実施率が全国平均の85.5%を下回っているのは 大阪府(98校、21.1%) 滋賀県(57校、57.0%) 和歌山県(78校、60.9%) 神奈川県(265校、63.5%) 京都府(122校、70.5%) 奈良県(75校、71.4%) 三重県(126校、75.9%) 高知県(99校、79.8%) 兵庫県(291校、82.9%)の9府県でした。 さらに神奈川県は完全給食の実施率が24.9%で、残りの給食を実施しているのはすべてミルク給食となっていました。 兵庫県も同様で完全給食の実施率は53.8%でミルク給食が28.8%となっています。 一般にミルク給食というのはへき地の学校で、給食センターからの配送ができないとか、人数が少なくて調理設備が作りにくいといったところ向けかと思っていましたが、兵庫県はともかく神奈川県にもそんなへき地が多いということなんでしょうか。 そんなわけで、大阪府、神奈川県そして兵庫県の公立中学校に通う子供をお持ちの親御さんは弁当つくりなどで大変かもしれません。 ちなみに、大阪市では、平成24年9月から段階的に中学校給食を実施し、平成25年9月から市内全中学校(128校)で実施し、平成26年度以降、すべての区において、全員が給食を食べられるようにしているそうです。 また、神戸市では平成26年度秋頃の一部中学校における給食開始に向けて取り組みが始まっているそうです。横浜市は議会で検討中のようでした。 ということで、大阪市で中学生活を送ったMoMo太郎は、中学生になるのが40年早かったわけです。5.調理方式について 学校給食における完全給食の調理方式ですが、これには単独調理場、共同調理場そしてその他調理場方式の3つの方式があるそうです。 単独調理場方式 …学校用地内にある給食室で調理する方式 共同調理場方式 …学校給食センターで調理された給食を対象校へ配送する方式 その他調理場方式 …民間調理場で調理された給食を対象校へ配送する方式ということです。 平成24年度の公立の小・中学校における調理方式は、 単独調理場方式 1万2264校 42.6% 共同調理場方式 1万5838校 55.0% その他調理場方式 674校 2.3%であり、平成18年度時点では、 単独調理場方式 1万3137校 43.8% 共同調理場方式 1万6345校 54.6% その他調理場方式 480校 1.6%となっていました。つまり単独調理場方式というのは段々数が減っているというわけです。 また、全国の公立小学校と公立中学校の調理場方式を平成24年度で比較すると 単独調理場方式 小学校48.3% 中学校 28.3% 共同調理場方式 小学校51.3% 中学校 64.5% その他調理場方式 小学校0.4% 中学校 7.2%となっており、中学校での単独調理場方式での給食実施割合が低いことがわかります。6.都道府県別調理方式について 都道府県別に公立小学校の調理方式を比較してみると大都会を含む都道府県では単独調理場方式、地方で人口密度が少ない県では共同調理場方式の割合が高い傾向があるようです。 公立小学校で共同調理場方式の割合が高いのは、 島根県(204校、90.3%) 鳥取県(121校、89.6%) 青森県(260校、86.1%) 沖縄県(230校、84.5%) 岩手県(294校、84.0%)また、単独調理場方式の割合が高いのは、 神奈川県(748校、87.2%) 東京都(1,132校、87.1%) 福岡県(609校、81.0%) 大阪府(700校、76.8%) 京都府(300校、72.7%) 公立中学校の場合も、小学校ほど顕著ではありませんが、やはり人口密度の少ない県での共同調理場方式の採用割合が高いようです。 公立中学校も同様に共同調理場方式の割合が高いのは、 鳥取県(47校、97.9%) 大分県(125校、96.9%) 岩手県(156校、96.3%) 滋賀県(48校、90.6%) 青森県(132校、89.2%)単独調理場方式の割合が高いのは、 東京都(427校、69.2%) 大阪府(31校、45.6%) 富山県(36校、44.4%) 福岡県(130校、44.2%) 石川県(40校、43.0%) ちなみに、中学校で採用の多いその他調理場方式、つまり民間調理場で調理された給食を食べる方式の採用校が多いのは、 愛知県(107校) 東京都(95校) 京都府(66校) 広島県(49校) 神奈川県(39校)となっています。つまり、中学生ながら出前の仕出し弁当をとっているという、サラリーマンのような食生活を送っているということですね。7.まとめ 小学生の時、一番楽しみだった給食の時間、中学生になってなくなってがっかりした思い出がありますが、大阪市って意外と例外的な場所で、全国の中学生は給食を食べているんだなということがわかりました。 しかし、財政難のご時世のせいか、中学校で単独調理場を持つのは少なく給食センターからの配送に頼っているところが多いようです。戦後の食糧難を背景に生まれた学校給食、それから食に対する国民の要望の変化もあり、色々と国民の要求に適応しながら、子供たちの健康にも役立つよう続けていってほしいものです。人気ブログランキングへ