チップって、GDPに含まれる?
いつものことながら、アメリカでのチップはちょっと煩雑です。しかも、最近はそのチップ代も上がっているようです。90年代にちょっとだけアメリカのアパートに住んでいた時は、確か料金の10%程度じゃなかったと思います。しかも、実際には払うことが当たり前でしたが、現地の人に言わせると「そのサービスが気に入らなかったら、払わなくたっていいんだよ」とも言われていました。ですが、その後行くたびにチップの相場はジリジリと上がり、12%とか15%などになっていきました。そもそもこういう相場の変化は誰が決めるのでしょうか?アメリカのサービスの質が急激に向上したとも思えません。今はどうなんでしょうか?最低15%で20%も当たり前という感じになっています。なので、アメリカのレストランは前回のブログに書いたようにそもそも日本に比べてかなり割高になったにも拘わらず、そこへまた20%もチップを払うので、メニューを見て「ちょっと高いくらいかな?」と思っても、最終的には円安も考えると日本の倍くらいのイメージです。このチップ制度、慣れればどうってことないのですが、今回のように久しぶりにアメリカに行くとやはり面倒な感じがします。特に小銭がない場合は、結局切り上げ計算で一層割高になる感じです。例えばタクシーを使った場合、メーター表示は13.5ドルでした。ちょっと前の為替なら1350円ってとこです。これは、距離的にも日本とあまり変わらないと感じました。が、そこに何か2ドルが加算されてます。税金かなと思い、暗算で15.5ドルと計算し、更に「えーっと、15%を加えると・・・」確かに15%なんて計算しずらいです。「うーん、大体17.何ドルかになりそうだな」と思い、財布を見ると1ドル紙幣が少ないのです。でなんとか17ドルを集めて渡すと「Where is my tip?」とタクシー運転手に言われました。「俺のチップはどこにあるんだ?」ってことでしょうが、この言い方がなんだかとても生々しく聞こえました。アメリカらしいというか、チップへの執着心を強く感じました。あわてて財布を覗きますが、もう小銭はありません。結局、20ドルを渡してそれでおしまいとなりました。旅行中なので、17ドルでも20ドルでも大した違いはありませんが、良く考えると結構な差です。つまりメーター表示が13.5ドルだったものが20ドルの支払いが必要ということです。ちょうど1.5倍です。しかも円安。なんとなく「1350円のタクシー代が、あれよあれよと2400円になってしまった」って感じです。この例は短距離区間でしたが、メーター表示で50ドルの区間で結局80ドル近い支払になったこともありました。これはまさに「5000円が1万円になった」って気分でした。レストランやタクシーのみならず、ホテルのクリーンナップにも枕銭を置きます。ちょっと考えました。売上の20%ってかなりの大きさです。粗利益20%程度で頑張っている人たちもいるでしょう。もちろん、ここでいう粗利益というのは売上から仕入れを引いたことを指しますが、基本的にこれらは全て税金の対象となります。ですが、チップはその性格上、把握することはほとんど不可能ですから、無税ってことなんでしょうか?税の有無はともかく、GDPの統計上はどう処理されているのでしょうか?日本の消費税は5%から8%に上げただけでも大きなインパクトがあります。レストラン業、タクシー業、ホテルサービス部門などの売上の20%と考えたら、膨大な金額になるに違いありません。それらは全て無税、無申告、GDPの範囲外ということなのでしょうか?その消えたチップを売上税の対象にするのか、所得税の対象にするのかはわかりませんが、おそらく日本レベルで考えても1兆円どころではない金額になるのではないでしょうか?「いやあ、チップは気持ちの現れだから」という人もいるでしょうが、実際にはサービスの質とは関係なく義務化しています。私は「お気持ちで結構です」というお寺のお布施と同じだなと思いました。ともに無税なのも似てるかも。日米物価差なる本があったとしても、「レストランのメニュー比較」や「タクシー料金規定比較」を見ても全く現実とは違うということを理解しておかないといけません。「タクシーに乗る時に小銭が気になる」というのは、実はモンゴルでも同じです。但し、モンゴルの場合はチップではなく「おつりがないので、そのままもらう」というドライバーが多いのに対抗するために小銭(500トゥグルグ単位=30円)を常に財布にため込むようにしています。チップはGDPの内か外か?多分、外なんでしょうね。となると、アメリカの実体経済は数字よりも大きいってことなんでしょうか?