「考え方にも色々とあるのです」(自分の考え方の癖を知ろう)
一口に「考える」と言っても考え方にも色々あります。「正解を見つける時の考え方」と「新しいものを発明、発見するための考え方」は異なります。「子育てに必要な考え方」、「数学の問題を解く時の考え方」、「スポーツが得意になるための考え方」、「ナゾナゾを解く時の考え方」も異なります。「子どもの考え方」と「大人の考え方」も違います。「日本人の考え方」と「外国の人の考え方」も違います。「人は話し合えば分かり合える」などと言う人もいますが、それは勝手な思い込みに過ぎません。気質が違えば考え方も違います。性別が違えば考え方が違います。生まれ育った気候風土や文化が違えば考え方が違います。客観性が高いと言われている科学の分野ですら、科学者によって考え方が違います。宇宙論を扱っている科学者と、量子論を扱っている科学者でも考え方は違います。同じ「絵」という分野でも、日本画家と油絵画家とでは考え方が違います。でも多くの人が、「自分が得意な考え方」だけにこだわろうとします。そして、自分の考え方だけを基準にして他の人の考え方の是非を云々します。子どもと対話する時には、「子どもの考え方」に合わせる必要があるのですが、多くの大人が「大人の考え方」をそのまま子どもにも押しつけようとしています。子どもの言葉を、大人の考え方で理解しようとしています。それでは子どもとの間に意思の疎通が出来ないのですが、それを子どものせいにします。「何でちゃんと人の話を聞かないんだ」と叱ったりもします。みんな「自分と他の人とでは考え方が違うんだ」ということは体験的に知っているのですが、基本的にみんな「自分の方が正しい」と思い込んでいるのです。だから簡単に相手の考え方を否定するのです。多くの人が、「子どもの考え方」よりも「大人の考え方」の方が正しいと思い込んでいます。でも、大人が生きている世界では「大人の考え方」の方が正しいのですが、子どもが生きている世界では「子どもの考え方」の方が正しいのです。その「子どもの考え方」を大切にしてあげないと、子どもは自分の成長に必要なものを得ることが出来なくなってしまうのです。また、大人と子どもの意思疎通が困難になってしまうので仕付けや教育も困難になってしまいます。でも人は、自分の考え方の癖を知りません。自分の気質が分からないのもそのためです。