「子どもの心を育てる遊びの世界」(見えない世界との出会い)
これは、以前やった親子教室での写真です。最初に、おーたまじゃくしは かえるのこなまずのまごではないわいなと歌い。次にかえるのうたが きこえてくるよと歌い、輪唱もして、春になって、暖かくなるとね地面の中に眠っていた生き物たちや、種や卵が「春が来た」と外に出てくるんだよ。みんなもそんな種や、卵や、生き物になってみようよ。と呼びかけ、お母さんと一緒に布を土に見立てて、隠れてもらい雪深い冬から、暖かい春まで、簡単にナレーションをして、春だよ、みんな出ておいでと遊びました。ウサギさんが目覚め、チョウチョさんが生まれてきました。子どもたちは春になると、カエルを捕まえ、チョウチョを追いかけますが、でも、冬から春にかけて何が起きているのかは知りません。見えない世界で起きている出来事だからです。ですから、子どもだけで遊んでいたら、こういう遊びは生まれません。子どもというのは結構「即物的」なんです。でも、日常的にこのような遊びで遊ぶことで、「見えない世界への気付き」が生まれ、「命がつながっている」ということが分かるようになってくるのです。「根っこの こどもたち 目をさます」(ヘレン・ディーン フィッシュ 著, ジビレ・フォン オルファース イラスト)という絵本なども読むと、もっとイメージが広がるかも知れません。また、以下の写真では「見えないボール」を回しています。幼い子どもでもちゃんと「見えないボール」を回してくれるのです。それは、物理的には存在しないボールですが、みんなの思いが詰まったボールではあります。その「みんなの思いが詰まったボール」を小さな手に受けて、そのまま歩き、お友達の所に行って、優しく受け渡します。ちょっと感動しますよ。また、「なんの音」という遊びもよくします。「ピョンピョンピョン」「なんの音」「ウサギさんが跳ねる音」「あーよかった」というような遊びです。「ぽとんぽとんはなんのおと」(神沢利子作・平山栄三絵)という絵本もあります。「音」も目に見えません。だから、想像するしかないのです。今日、ご紹介した遊びは「見えない世界を楽しみ、想像の世界で遊ぶ」ものです。このような遊びが、子どもの「人間としての心」を育てる働きをしてくれるのです。人は「自分の心」は分かります。でも、見える世界だけしか見ていなければ、「他の人の心」のことは分かりません。そして、他の人の心が分からなければ、自分の心と客観的に向き合うことが出来ません。「心の世界」は目では見ることが出来ないからです。ですから、子どもたちが大勢で遊んでいても、それだけでは他の子の心には気付かないのです。その「他の人の心」を感じ、大切にするようになるためには、遊びを通して、「心の世界」や「見えない世界」への気付きと想像力を育てることが必要になるのです。そして、これは「心の世界」や「見えない世界のことを知っている大人」が伝えないことには、子どもだけでは発見できないのです。「お話しの世界」は「心の世界」です。だから、遊びの中に「お話し」や「物語」を取り込むことで、子どもは自分の心にも、他の子の心にも気づくようになるのです。根っこのこどもたち目をさます[本/雑誌] / ジビレ・フォン・オルファース/え ヘレン・ディーン・フィッシュ/ぶん いしいももこ/やく・へんぽとんぽとんはなんのおと (こどものとも傑作集) [ 神沢利子 ]