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テーマ:酒類業界の打ち明け話(24)
カテゴリ:業界ネタ
ちょっと専門的な話になってしまって恐縮だが、
「地酒の流通」というのは今、大変いびつな状況になっていると思う。 「いびつ」と言ってしまうと語弊があるが、要は需要の側と供給の側のすれ違いが甚だしい、ということだ。 本題に入る前に、地酒の流通の現状について、少々説明させていただきたい。 その前にまずここで言う「地酒」とは、「地元の酒」のことではなく、 大手メーカーの対極に位置する「地方酒」という意味で捉えていただきたい。 地酒の流通といってもいろんなパターンがあるが、 「蔵元が消費者に直売する」というわずかな例を除けば、 基本的に消費者には小売酒販店(スーパーやコンビニなども含む)から渡る。 ではその小売酒販店まではどのように品物が流れるか、というと、 そのルートは大きく二通りに分かれる。 ひとつには蔵元から問屋を通じて小売店に卸されるケース、 もうひとつは蔵元から小売店に“直で”卸されるケース、このふたつだ。 前者のいわゆる「問屋経由」のルートは、地酒の中でも比較的生産量の多いところがこれに相当する。 “充分な量の安定供給”というのが前提となるからだ。 そして後者のいわゆる「直送小売店」ルートは、比較的小規模の蔵元が対象になる。 これには、生産量が少なくて現実的に「問屋経由」ルートでは対応しきれない、という側面と、 蔵元自体が様々な理由で「問屋経由」ルートに乗せることを良しとしない、という側面がある。 ただ最近の傾向として、どちらかというと生産量の小さな蔵元が有り難がられることが多い。 現実的にここ最近で話題に上ることの多い蔵元は、押しなべて小規模のところばかりだ。 生産量が少ない=美味しい、ということは必ずしも言えないが、 少量生産の方が細かいところまで目が行き届くのは確かだし、何よりも個性が出しやすい。 そういったことも関係していると思われる。 そういうわけでここのところ話題になる酒というのは、比較的小さい蔵の少量生産のものばかりになる。 本や雑誌などに掲載されて名前が知られるようになり、お客さんからリクエストを頂戴することも多い。 しかしだからといって、お客さんからのリクエストに応じて、我々がそのお酒を ホイホイと取り寄せられるかというと、現実はそんなに甘くないのである。 (長くなりそうなので、後半はまた後日....) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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