テーマ:試写会で観た映画の感想(680)
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公開は6月下旬です。
監督・・・ブラッド・シルバーリング 出演・・・ジェイク・ギレンホール、ダスティン・ホフマン、スーザン・サランドン、ホリー・ハンター他。 タイトルの「ムーンライトマイル」とは、ローリング・ストーンズの曲名から取ったもの。 一言で感想を述べるのなら、「電車賃と時間を返せ」ですね(笑)。 ただ脚本次第で、いくらでも化ける映画だと思いました。 監督自身が脚本を書いていますが、結論から言うと、構想だけを提供して、他の人に書いてもらうべきだったかな。 自分の思い描いている事を、自然な流れを持った一作品として構築してゆく技術が、この方には欠落しているような気がしました。 全部ワンマンで済ませる方の場合、独り善がりな思い込みだけの作品に仕上がる事が多いのですが、これはその悪い例でしょうかね。 (自分の中では長い間一生懸命考えて作ったから、各登場人物の人間性は奥深くまで理解している。→ 一見相反する断片的なシーンの連続でも、そのキャラクターの全てを理解しているから受容できる。→ 観客も自分と同様に理解し、共感するだろう。 という思考回路からの産物としての作品。) やはり約二時間という時間内で、一般大衆を相手にするのなら、ある程度ステレオタイプなキャラクター作りも必要だと思うのですよね。 より多くの共感を得たいと望むのならば。 物語の序盤はこうです。 結婚式を目前に控えた娘が発砲事件に巻き込まれて死亡した。 婚約者を失った青年は、最愛の娘を亡くした両親と共に暮らし、義父の仕事のパートナーとなる。 両親は義理の息子を新しい家族とする事で、喪失感を埋めようとしていた。 しかし婚約者ジョーには、二人に言い出せない秘密があった。 実は結婚式の直前、カップルは婚約を解消していたのだった・・・。 ちなみにキャッチ・コピーは、 「彼女が死んで、一つの嘘が生まれた」です。 ここからネタバレ。 宣伝内容から、私は当然、心に沁みる感動のストーリーを想像していました。 こっそり涙を拭わねばならないかもと。 しかし、始まってすぐに、それは誤解だったと気付きました。 とにかく軽いんです。 娘の葬儀の日から映画は始まるのですが、両親の態度は、凡そ我が子を亡くした親のそれには見えません。 まるで他人の葬式に、お義理で出席する人のように、事務的な振る舞いを見せています。 そして(元)婚約者も同様の態度。 いくら婚約を解消したからと言って、一度は結婚まで考えた相手の不遇の死に、涙の一粒も出ないのでしょうか? (設定では嫌いになって別れたのではなく、親友止まりだとお互い認識したから婚約を解消したとなっています。 それなら尚更、悲しいんじゃないの?) 出鼻を挫かれましたが、「これは軽いノリで全てを片付けるタイプの映画なんだな」と、自分自身の心を軌道修正しました。 ところが、そうでもなかったんですよね。 シリアス路線を思わせる場面が、中盤くらいからいっぱい出てきます。 でも観ている側は、「今更、そんな真面目な演技されてもなぁ」と戸惑うばかり。 共感などは一切持てません。 チラシには、「痛々しい程の前向きさで新しい親子関係に希望を見出そうとする父親と、世間体にかまわず、同情を拒否し続ける母親」と解説してありますが、この解説を読まないと、彼等のこういう心境は全く伝わってきません。 (逆に言えば、「無理矢理、こう解釈して、チラシの解説書いただろっ!」て感じ。) という事で、山場となるべき、射殺事件の法廷場面での、主人公の告白も完全に空回り。 あの台詞は、苦難の山を乗り越えた者が言ってこそ、価値があるというもの。 山を築く工程抜きで、山場を見せられるのは痛いですね。 それから母親の「もう判決はどうでも良い」という発言も納得しかねます。 あんな短時間の内に、全てを過去として葬れるものでしょうか? 家族を殺されるって、そんなに軽い事ですか? 最後にこれだけは言いたい。 主人公の俳優、顔が変! こいつは絶対に売れない!! 試写会の途中で二回上映が途切れたのは、私の怒りのパワーのせいかもね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 29, 2003 04:37:29 AM
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