テーマ:TVで観た映画(3914)
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監督・・・篠田正浩
原作・・・司馬遼太郎 新潮文庫刊 (直木賞) 出演・・・中井貴一、鶴田真由、葉月里緒菜、上川隆也、永澤俊矢、根津甚八、山本學、火野正平、岩下志麻、他。 ナレーション・・・中村敦夫 ・物語序盤・ 天正9年、織田信長は伊賀の里を攻め、女子供に至るまで、伊賀者を根絶やしにさせた。 それから10年後の月日が流れた…。 信長は既に亡く、豊臣秀吉が天下を牛耳る時代に。 伊賀攻めの際の生き残りの一人・葛籠重蔵は、独り山中に籠もり、隠遁生活を送っていた。 そんな彼の元へ、かつての師匠が訪れ、太閤秀吉暗殺の密命を下す。 秀吉を殺しても意味は無いと拒否するものの、最終的には太閤暗殺を約した重蔵は、久し振りに人里に下りてくる。 一軒の宿屋で彼を持て成したのは、小萩という妖しくも美しい女だった。 彼女は今井宗久の養女で、太閤暗殺の連絡役として、重蔵に接近したのだった…。 とても真面目に忍者時代劇を撮ろうとしている姿勢に好感が持てましたね。 以前「赤影」を観た時、あまりの悪乗りぶりに激怒したのですが、こちらは時代劇らしく重厚なタッチで貫かれていました。 中井貴一は良い俳優だと思うのですが、この役には些か重みが不足していたような気がします。 とにかく声が高いんですよね。 もう少し低めの濁声だったら、影のある男の渋さが出せたのにと、その点だけは残念でした。 個人的には、五平役の上川隆也が一番好きでしたね。 映画内では登場人物についての解説はありませんので、歴史的な基礎知識は要求されます。 戦国時代の武将の名前や力関係など。 まあ、学校の日本史の授業、プラス、テレビ番組など雑学レベルで対応できますが。 織田の攻撃によって、地盤を失った伊賀忍者達の、それぞれの身の振り方が、自分自身の身に置き換えると、実感できるというか。 全てを過去に捨てて、世捨て人として、現世との繋がりを絶つのか。 伊賀の名と自負を守る為に、実際には既に存在しない敵を倒そうと固執するのか。 侍となり、かつての仲間を狩る事で自らの地位を高め、新たな時流に乗ろうとするのか。 自分なら、どの道を選択するだろうかと…。 この作品では、重蔵と五平という対照的な二人の忍者が出てきますが、結局最後まで、どちらも「忍」である自分を捨て切れなかったのでしょうね。 秀吉に世継が出来、暗殺を命じた人物も心変わりし、重蔵自身も秀吉を殺しても、何の意味も無い。 それは誰より熟知しているが、その使命を遂行する事でしか、自分のアイデンティティーを確認できない。 そして皮肉にも、自分が殺害を目論む当の秀吉も、自分とは一体何者なのかと問う。 結局誰も、自分とは何者なのか、明確に把握できはしない。 自分が自分であるという定義は、当たり前のようであり、実はとても曖昧な事なのですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 6, 2004 05:52:47 PM
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