テーマ:映画館で観た映画(8561)
カテゴリ:映画鑑賞記録
"MONSTER"
監督・・・パティ・ジェンキンス 出演・・・シャーリーズ・セロン、クリスティナ・リッチ、ブルース・ダーン、スコット・ウィルソン、プルイット・テイラー・ヴィンス、他。 ・物語序盤・ 1986年、フロリダ。 アイリーン・ウォーノスは13歳の時から、売春をしている女性。 夢見ていた暮らしと現実のギャップに疲れ果てたアイリーンは、所持金の5ドルをバーで使い切ったら自殺しようと考えていた。 そこで出会ったのがセルビーという同性愛者の女性。 彼女は同性愛である事を病気と捉えられ、治療の為に強制的にフロリダにある父の友人の家に預けられていた。 アイリーンとセルビーは、話す内に打ち解けあい、徐々に惹かれ合ってゆく。 そしてある日、アイリーンは一緒に暮らしたいと、セルビーを家から連れ出した。 経済力の無いセルビーを養う為、再び道路脇に立って、ヒッチハイクを装いながら、売春相手を探すアイリーン。 しかしある晩彼女を拾った男は、凶暴で残忍なレイプ殺人犯だった…。 アメリカ犯罪史上初の女性連続殺人犯として処刑されたアイリーン・ウォーノスを描いた作品です。 何より13kg体重を増やして、この役に挑んだシャーリーズの頑張りとプロ根性を称えます。 肌の荒れ具合など、本当にこれがあの美しいシャーリーズなのかと目を疑いたくなるほどです。 アイリーン役を演技しているというより、アイリーンがそこに居るのではないかと錯覚する位のなりきりぶり。 いやはや、感服しました。 この映画を撮るに当たって、アイリーン本人との入念な打ち合わせがなされたそうですが、その甲斐あってか、本当にリアルな仕上がりとなりましたね。 一番評価すべき点は、アイリーンの人物像を決して美化せず、可哀想な女性にしなかった事です。 八歳の時から父親の友人にレイプされ続け、それを父に相談すると、逆に叱られ殴られる生活。 父親の自殺後は、弟や妹に小遣いを与える為、まだ幼い体を見知らぬ男達に売り始める。 それを批難されて家出をした後は、ずっと娼婦としてその日暮らしの生活。 強く感じたのは、彼女の無知と過酷な環境による精神の崩壊です。 人間というより、手負いの獣のような印象を受けました。 全ての行動が、この感覚の上に成り立っていました。 無知ゆえの短絡さ、精神破壊による執着心。 それらはまさに動物に近いです。 セルビーとの生活を続ける為、短絡的な殺人を繰り返す。 そして同時に、それらを自分でも赦せずに咽び泣く。 この辺のリアクションが、リアル過ぎるくらいリアル。 「娼婦と言えば、皆見下すけれど、誰より精神的にタフでなければ、娼婦はやれない」 アイリーンが話していたように、一人夜の路上に立ち、見知らぬ男の車に乗り込んで、体を売る娼婦という仕事は、身の危険と隣り合わせの孤独な職業です。 しかも相手は娼婦だとあからさまに見下しているので、屈辱に耐える精神的タフさも持ち合わせていなければ務まらない。 彼女の恋人だったセルビーもまた、正常というには程遠い女性という印象でした。 同性愛者という事はさておいても、依存心の強さには違和感すら覚えましたね。 私にはお金が無いから、ちゃんと面倒見てよ、と言い切るこの依存心は何だ? いつも金をくれ、遊びに連れてゆけと、アイリーンに喚くだけの女。 この女性も、アイリーンとは別の意味で、精神的な異常さを感じさせました。 観ていて決して楽しい映画ではありませんが、アイリーンとセルビーになりきった二人の名演技を観て頂きたい一本です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 16, 2004 06:00:25 AM
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