テーマ:映画館で観た映画(8561)
カテゴリ:映画鑑賞記録
"MILLION DOLLAR BABY" 監督・・・クリント・イーストウッド 原作・・・F・X・トゥール『テン・カウント』(早川書房) 出演・・・クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、アンソニー・マッキー、ジェイ・バルチェル、マイク・コルター、ブライアン・オバーン、マーゴ・マーティンデイル、マイケル・ペーニャ、他。 ・物語序盤・ フランキー・ダンは、ロサンゼルスのダウンタウンで、寂れたボクシング・ジムを経営する老トレーナー。 ウィリーという有能な黒人ボクサーを育て上げたが、タイトル戦になかなか挑戦させない為、ウィリーは他のマネージャーと契約を結んで、彼の元を去ってしまった。 そんな折、マギー・フィッツジェラルドという女性が、フランキーの指導を受けたいと志願してくる。 しかし女性ボクサーは指導しないと、フランキーは拒絶した。 マギーは昼間はウェイトレスの仕事をしながら、ずっとボクシングの練習を続けてきた貧しい女性。 彼女は断られても諦めず、フランキーのジムに通い続ける。 そんな彼女をフランキーの親友で、ジムの管理係をしている元ボクサーのスクラップが世話をし始めた。 そして遂に頑なだったフランキーも、マギーのトレーナーを引き受ける事に。 アカデミー賞で作品賞、主演女優、助演男優、監督賞の計4部門を受賞した作品です。 取り敢えず、最初の感想は「ビックリした」です。 まさか、こういう映画だったとは。 予告編を観ている限り、皆さんそうだと思いますが、ボクサーとしては年齢の行き過ぎた女性が、逆境を跳ね除けてボクシングに打ち込み、勝利を手にしてゆくサクセス・ストーリーだと思いますよね。 ところが蓋を開けてみると…、なんですね。 本当に驚きました。 と、同時に、観ながら、ぼんやりと考えていました。 「これって、そんなに素晴らしい映画なのか?」と。 アカデミー賞作品賞を受賞したという事は、その年作られた映画の中で、最高の作品という事ですよね、一応、安易な解釈上。 それがこの作品だというのでしょうか? 個人的に、感動もしなかったし、取り立てて、素晴らしい映画だとは思いませんでした。 勿論、普通の映画の基準から言えば、充分見応えのある映画だとは思いますが。 でも全ての頂点かと言われると、否と感じてしまうのです。 今迄もしばしば感じた事ですが、アカデミー賞の基準て、重い暗いテーマ=上質の映画という公式が成り立っていますよね。 私は重ければそれで良いのか?と、どうしても反発せずにはいられませんでした。 映画の中身についても語りたいと思います。 演技の面では何も文句はありません。 ヒラリー・スワンクのボクシングは、厳しいトレーニングを積んだ事が滲み出ていました。 音響効果で補っている面もありましたが、スピード感のあるパンチだったと思います。 ボクシングのシーンは、本当に興奮して血が騒ぎました。 またそれぞれの登場人物の背景が、ドラマをより深く演出していますね。 ヒロインの、貧しい生活が故に、浅ましく歪んだ卑しい家族。 トレーナーには娘が居るらしいが、手紙はいつも彼の元に戻ってくる。 どういう状況なのかは、観客が想像するしかない。 そして、試合中の怪我で片目を失明し、引退した老ボクサー。 全ての人が痛みを抱え、孤独の中で一人戦い続けています。 その人々の間に生まれた堅い絆。 "モ・クシュラ"と書かれたヒロインのガウン、その意味は…? 今回も音楽は監督自身が作曲していました。 どれもとても静かな音楽で、BGMもあまり無い作品なので、映画全体が静寂に包まれています。 そこにモーガン・フリーマンの低く穏やかな語り口が響いてくる訳です。 魅せる演出として、小技が上手いですね。 ラストの選択は、自然に受け入れられました。 私も彼女の立場なら、そうしてほしいですから。 ボクサーになる事だけを夢見て、人々の歓声に包まれた彼女にとって、生きる事はボクサーとしてリングに上がる事だけだから…。 1本の映画としては嫌いではないですが、疑問も感じました。 「ミスティック・リバー」もそういう意味では、首を傾げる部分もありましたからねぇ。 アカデミー賞ってそういうものと割り切ってしまえば良いのですが。 蛇足ですが、映画館で私の後方に座っていた人が、途中から鼻をぐすぐすし始めました。 泣くのは仕方ないけど、息をする度に、ずずっずずって…。 物凄くイライラ。 そこまで泣く映画かよ?! 私はこの人のせいで、目すら潤まなかったです。 ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jun 5, 2005 08:24:12 AM
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