テーマ:映画館で観た映画(8561)
カテゴリ:映画鑑賞記録
"THE MIST" 監督、脚本・・・フランク・ダラボン 原作・・・スティーヴン・キング『霧』(扶桑社刊『スケルトン・クルー1 骸骨乗組員』所収) 出演・・・トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン、アンドレ・ブラウアー、トビー・ジョーンズ、ウィリアム・サドラー、ジェフリー・デマン、フランシス・スターンハーゲン、アレクサ・ダヴァロス、ネイサン・ギャンブル、他。 ・物語序盤・ 記録的な大嵐が長閑な田舎町を通り過ぎた翌朝。 湖畔の家に住むドレイトン一家の家は、祖父の植えた木が倒れ、二階窓ガラスを直撃していた。 映画ポスターなどを手掛ける画家デヴィッドが描き上げた絵も台無しに。 妻ステファニーと二人で、嵐の惨状を見て話していると、一人息子のビリーが、隣家の家の樹が倒れて、ボートハウスが木端微塵だとはしゃいで告げに来る。 ステファニーは湖の向こう側から、霧が出てきているのを不審に思うが、デヴィッドは単なる自然現象だろうと軽く流す。 隣家の住人ノートンはNYの黒人弁護士で、彼とは以前にも境界線の問題で裁判沙汰になっていた。 枯れた樹を切るよう頼んでいたのにと、憤慨するデヴィッドは、妻から喧嘩はするなと釘を刺されて、保険について尋ねるだけだと隣を訪ねる。 ノートンの愛車は倒木の下敷きになっており、彼は街に行くなら、同乗させてほしいと頼む。 デヴィッドは息子とノートンを車に乗せ、街のスーパーマーケットで買い出しに出掛けた。 電気も止まってしまったスーパーは、復旧までの買い出し客で満員で、店員はてんてこ舞いの状態だった。 彼等が買物をしている間に、霧は段々と濃くなり、やがて一人の男が血塗れで、スーパーに駆け込んでくる。 彼は霧の中に何かが居て、近くに居た人間を連れ去ってしまったと訴える。 尋常ではない異常事態に、人々はとにかく店内で様子を見る事に。 息子に掛ける毛布を探しに、店の倉庫に行ったデヴィッドは、閉じられたシャッターの向こう側から異様な音を立て、シャッターを湾曲させる程の力で中へ入ろうとする何かが居る事に気付く。 慌てて店員に話すが、彼等は全く取り合わず、換気用のボイラーを直す為に、若い店員ノームを外へ出した。 すると霧の中から、巨大な触手が現れ、ノームを捉えて引き摺り出してしまった。 上映終了日に滑り込み鑑賞。 予備知識は入れたくなかったので、殆どレビューは読まずに行きましたが、いやーな映画だというコメントは見ていました。 本当に一言で表現するなら、実にいや~な映画ですね。笑。 救われない度マックス。人間の怖さ・醜さマックス。 悲劇愛好家の私には、ストライクゾーンど真ん中でしたわ。(#^.^#) 大好き、この手の映画♪ ダラボン監督はキング原作で「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」と、大ヒット映画を生みだしている、キングとは相性の良い監督。 個人的には、今作も上記二作に並ぶほど気に入りましたが、内容が内容だけに、万人受けはせず、話題作にもならず、ひっそりと公開されて終わってゆきましたね。 真っ当な人間も、鬱になりそうな内容ですから。笑。 登場するのは、先日公開されて話題を呼んだ「クローバー・フィールド」を彷彿とさせるクリーチャー達。 破壊ちゃんに匹敵するほどの巨大モンスターも出てきます。 でもあちらは、飽く迄、怪獣中心のパニックムービー。 今作では、エイリアン達は極限状態を作り出す為のネタでしかありません。 この映画が描いているのは、日常から懸け離れた、想像を絶する窮地に追い遣られた時の、人間達の心の動きです。 現代社会に於いて、人間が人間らしいと想定された範疇で行動する所以は、社会という枠組みがあるから。 良識的な教師アマンダは性善説を唱え、現代社会で人は理性的に行動するものだと当然のように言う。 それが如何に儚い夢想であるかは、僅かな時間で証明されてくる。 恐慌下で、スーパーマーケットという狭い空間に閉じ込められた、思想も階層も異なる様々な人々。 普段ならば、腹の底に隠している醜い本音を平気で口にする。 店内に侵入した小型のモンスター達の襲撃で、完全に平静を失った店内。 隣接する薬局に薬を取りに行った者達が、見聞きした惨状と、このパニックの原因。 たった2日足らずで、いつもは皆から変人と見做されていた、旧約聖書の教えを盲信するカーモディー夫人が声高に説く神の裁きに、人々は熱心に聞き入るようになった。 アマンダの言う良識派の人間は、刻一刻と少数派となってゆき、神の教えに背き、惨劇を齎した軍の一員てある若者を生贄として捧げる事に、疑問すら抱かない。 まるで魔女裁判の行われていた中世のように、文明と科学を否定し、知性も理性も失くしてしまう人間達。 ここからネタバレ含みます。注意。 観終わって気に掛かった事は、キング&ダラボンは、どの程度、キリスト教を信仰しているのかなという点。 穿った見方をすると、結末は、神を否定し、思い上がった行動をした者達が罰せられる形とも、受け取れるんですよね。 もし彼等が熱心なキリスト教信者ならば、私の映画への評価は若干下がります。 純粋な皮肉であるなら、大変結構です。 ついでに、最後のトラックの荷台に、店内に残った人達が乗っていて、彼を見下ろしていたら最高にエグかったと思いますね。 店内でデヴィッドの息子ビリーが父に哀願する場面で、うわぁ…と思いました。 そう来るか…と、厭~な結末が見えてしまった。 「怪物達に僕を殺させないで…。」 って事は、・・・・・しかないよね。 でもそれ以降に続く本当のラストには、心底驚きました。 目も当てられない悲惨な締め括り方。 それは余りに非道ではないですかぁ!! お父さん、これからどうしたら良いんですかぁ? あの状況下ならば、心神喪失で刑事責任は問われないと思いますが、そんな次元を遙かに超えてしまったよね、お父さん…。 彼の行く末は、精神病院での生活か、世捨て人の廃人の二者択一でしょう。 音楽も消え、トラックの走る音などだけが響いているエンドロールの、何とも言えない無情な感覚。 ナイス過ぎます。(*^^)v 是非、エンドロールが途切れる最後まで、絶望的な余韻に浸っていて下さい。 ↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jun 7, 2008 09:05:32 PM
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