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MY HIDEOUT ~私の隠れ家~

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Oct 10, 2008
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監督・・・滝田洋二郎
出演・・・本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、吉行和子、笹野高史、平田正吉、杉本哲太、峰岸徹、山田辰夫、橘ユキコ、他。

・物語序盤・
チェリストの小林大悟は、漸く念願叶って、オーケストラ団員の職を手に入れたのも束の間、客入りが悪く、楽団は唐突に解散して、失業の憂き目に遭う。
しかもプロとしてやって行く為、高価なチェロを購入した矢先の出来事に途方に暮れる。
ウェブデザイナーの妻・美香は夫の良き理解者で、大悟がチェリストの道を断念し、故郷の山形へ帰る事にも快く応じてくれた。
母の遺産である店舗兼自宅に引っ越したきた大悟は、転職先を探す事に。
「旅のお手伝い」という未経験者歓迎の求人広告を見付けた大悟は、旅行代理店だと思って、面接に赴く。
ところが事務員と社長の佐々木だけで経営している、その会社の職種は、あの世への旅立ちを手助けする"納棺師"。
皆が敬遠する仕事で応募が無いという理由で、強引な社長によって即決採用された大悟は、美香にも真実を打ち明けられないまま、破格の給料で納棺師の見習いとして働き始める。
今迄、遺体を一度も見た経験の無い大悟は、初めての納棺で腐敗した独居老人の遺体に当たり、とんでもない会社に就職してしまったと悩むが。

momiji

巷の評判は上々ですし、モントリオール映画祭でもグランプリを取った作品でもある。
その感覚は理解できます。
海外では、日本独特の文化に対する興味という点に於いて、国内では、ユーモアを交えつつ、温かみのある世界観が、それぞれ高評価を得たのでしょう。
ただ飽く迄、個人的な感想としては、様々な点で微妙なものがありました。

先ず、現代的感覚からズレが大きくないか?という点。
一昔前なら、葬儀関連の仕事を嫌悪する風潮もあったのでしょうが、正直な話、今時こんな事を言う奴が居るのか?と私は違和感を募らせました。
舞台を保守的な田舎という設定でカバーしているのですが、幼馴染が挨拶もしないって…。
更に、都会育ちの割り切った感覚を持っていると思われる、キャリアウーマンの美香までもが、普通の仕事をして~!と半狂乱になる。
その反応は、一般的にフツーなんですかね?
もっとビジネスライクに考えていた私は、唖然としてしまいました。
だって、未経験途中入社で初任給50万て、私、今日からでも行かせて頂きます!笑。

一方で、現代人が「死」というものを、過剰に忌避している現実も理解はしています。
「死」は口にしてはいけないもの、というような意識が蔓延している。
文明社会というものには、概して、この思考が広まる傾向にありますけどね。
でも私は、これにどうも納得が行かないのです。
人は生まれたら、必ず死ぬ。
生と死は、表裏一体、二つで一つのもの。
誕生が慶事ならば、人間がどんな形にせよ、その生の終着点まで辿り着いたのならば、それは祝うべき事では無いのだろうか?
無論、肉親を失った遺族の哀惜の想いは人間として当然ですが、良く頑張ったと送り出す事は、一つの慶事だと私は考えます。
それが死者への敬意だと思うんですよね。

扱う題材が重いだけに、作品全体をユーモラスに作ってあるのですが、少し綺麗に纏め過ぎたかな、という印象も抱きました。
一種の癒し系ドラマだから、と言ってしまえば、それまでなのですが。(^_^;)
温もりと反比例して、リアリティーは失われてしまったというのが実感です。
でも決して悪い映画ではありませんが。
死体はそんなに綺麗じゃないです。
死体役を生きている俳優が演じているという理由ではなく、死に方っていうのかな、もっと死というのは生々しいものですよ。

ツッコミとしては、死後半月以上経過している独居老人の遺体を納棺するシーン。
スーツにゴム手袋のみ…、有り得ない…。
欧米では、こういう業者は防御服を着て作業します。
日本はそこまで厳重ではないのですが、厚手の作業服が必須です。
腐敗の進んだ遺体には、細菌が大量に発生しているので、その部屋は非常に危険な場所。
服の上からでも、少し触れただけで病院行き。

死臭については、多少調べていると思いましたが。
仕事を終えたその状態で、バスに乗るという、如何にも初心者的なミスを犯す大悟。
乗客から臭いと囁かれて、銭湯に慌てて駆け込む。
でも体は洗っても、そのスーツをまた着て帰るなよ…。
そんな服、嗅覚の麻痺した人間しか着れませんて。
それと、初心者にマスクも無しで、死臭部屋に送り込む社長も、ちょっと気遣いが不足…。
絶対に入れないと思う。
仕事と覚悟して、死ぬ気でやったと解釈しましたが、せめてマスクはあげようよ、社長。
アンタは慣れてるかもしれんけどさ。
劇場内では笑いが起きていましたが、私はどーよ、これ?って感じでした。

あと、交通事故や犯罪で死亡した遺体が一体も無かったのが、これも作品を綺麗事と思わせる要因でした。
これは納棺師ならば避けて通れない汚れ仕事ですよ。
そこまでエピソードに入れると、話が時間内に収まらず、親子・夫婦ドラマを描けなかったって事にしておきましょうか。
基本、癒し系だから。
皆が甘ったるく癒されたがってる現代日本なので、この程度で仕方ないかな。

貶してばかりでしたが、先述したように、悪い作品ではないです。
ちょい泣けるのはホント。
「温い」けどね。(~_~;)
でも大多数の人達は、それを「温かさ」と表現すると思います。

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最終更新日  Oct 25, 2008 11:47:00 AM


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