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カテゴリ:.1次メモ
小さな少女を囲っている。愛したいし愛されたいから。外の世界なんて見せないであたしだけを見て、あたしだけで世界を満たして。その目が死んでいること、異常な関係に侵されていること、外の世界を知ったらきっともう戻ってこない事。全て知っているけれど。
ふわふわとした幼い少女。髪は肩の上で切りそろえ、服はいつもあたしとお揃い。印象は正反対。あたしがきつい女上司なら、この子は可愛い新入社員。数年前のセーラー服なら、あたしが強気な委員長ならこの子は優しい手芸部員、といった感じ。 「おかえりなさい、すわり」 「ただいま、わらこ」 彼女が居るから私は外で強く居られる。 ---けれど、それは長くは続かなかった。 「……わらこ?」 家に帰ると異臭がした。その発生源は明らかに大好きな彼女だった。 「……そとに、だして。でないとわたし、すわりを、呪ってしまう」 「え?……いいよ?」 「え?」 それ以来私は家の中では極力強くあろうとしている。わらこに心配させないように。 そして、彼女が居るから私は外でいくら自分が弱くても、生きていけるのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.07.17 02:57:51
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