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カテゴリ:🔗少プリ
「直ちゃんが部屋に来るんや」 ぽつりと道化が漏らしたのはある秋の日のこと。 読書の秋。 いちいち学校に持って来るよりも、家に直接行ってそこで読んだ方が早いのではとヨンイルが直に持ちかけた結果、了承されヨンイルが喜んでいる暇もなく本は片付いているのだろうなと睨まれたのが先日、そして直が実際にヨンイルの部屋に来るのは明日。このままでは説教を食らうこと確実だ。 「全然片付いとらんのに……あと一日しかない…時を駆けたいわホンマ」 「……この間片付け始めたって言ってませんでしたっけ」 漫画から何とも言えない表情で顔を上げるワンフーにかぶりを振るヨンイル。 その顔には諦めがにじんでいる。 「いや、何度も片付けようとはしたんや。けどな、片付けの途中に分類しよ思うてぺらっと読む、そんでそのままその続きの巻読む、むはむは妄想する、気付いたら数時間経っとるんや」 「掃除あるあるっスね」 「それ何回繰り返してんですか」 子分たちが口々に好きなことを言うがその中に誰一人として解決策を導き出せる者は居ない。 「もういっそ、一人でやるから駄目なんじゃないですか」 「俺達で手分けしてやるとか」 「……」 ヨンイルは何事かを考えるように宙に目線を飛ばすが、やがて観念して一言。 「………せやな、分かった。手伝ってくれ」 「あああああその本はそっちやない!」 「え!?」 「それはこっちのシリーズと隣にするからこそ真価を発揮…おい、ここにこれ置いたの誰や!お前もそんな運び方やめえ!」 あちこちに飛ぶ声。 掃除開始から数十分、部屋の中の圧迫感は未だに揺らがない。 西の面々が一つ本を動かす度、図書室のヌシの声が飛び直々に赴いたヨンイルが結局分類整理し並べるのだからそれも当然、子分達の役割はもっぱら本の棟を纏めるかシリーズごとにそろえるかのどちらかとなっている。 「ハンターハ●ター23巻あるかー?」 「幽●白書ならあるぞー」 呼びかけの声は飽和し元々密度の高かった部屋が視覚だけでなく聴覚へも捌ききれない情報を与えていく。 「お前これちゃうわ!こっちはジャンプの棚!ジャンプネクストとジャンプスクエアは全くの別もん…」 「全く、本気で片付ける気があるのか。最初は何はともかく大まかに分類すべきだろう」 「直ちゃんが大まか言うなんてなあ」 「僕も時間があれば細かく分類したい、だが時間が無い中細事に拘っているのは余りに非合理的だ」 直の容赦無い思春期の息子の部屋を掃除するような有無を言わせぬ掃除は、結局今回の成果の7割近くを占めた。 ------------------------------ --------------- ヨンイル→現代なら漫画だけでなくグッズ諸々も繁茂。 直→シンプルイズベスト。本に関しては以前は家や図書館で事足りていたものの、ヨンイルに感化されてからは着々と 自分用の本が増えつつある。本棚に普通に置くか隠すか… サムライ→捨てられない。ただし自分で何かを買ってくることもあまりないため結果的に綺麗。 ロン→お小遣いでは大体食べ物ばかり買っている。が、直から渡された参考書(3日坊主)ヨンイルから貸された本(帰すたびに新たな本を貸される)何故か溜まっていくレイジの私物などでカオスな状態に。 レイジ→アクセサリ系が多いかもしれない。あと食料品のストックがやたら多い。避難所を開けるレベル。本は教科書プラス聖書プラスヨンイルに借りた漫画。大体図書室とヨンイルで事足りるので自分では本買わない。 直に掃除されエロ本見付けられた場合: ロン→レイジが勝手に置いて行ったものを発見される。 思春期だからしょうがないという反応をされ更に恥ずかしくなる、翌日レイジに怒るがしれっと返される レイジ→オープンエロス ヨンイル→オープンどころかきらきらとした目で薦めてくる お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.10.13 00:55:56
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