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殺す勢いで吸っても吸ってもまだ湧き上がってきやがる。
……こいつほんとに人間か? 【四天王の憂鬱】 意気揚々と乗り込んできた木の国の西勇者を埋め込んでる所はどくんどくんと凄い勢いでエネルギーを吸い出しては枯れかけた金の国の民や私の魔力の源泉へと注ぎ込んでくれる。 これなら多少他国を救った所でお釣りが来るくらいだ。 「……ああ。こいつ、火の国のー…魔物化した奴等と、木の国の原住民との混血か」 通りで糞みたいに頑丈な筈だ。 「しかもめちゃくちゃ興奮してっからエネルギーは吸い放題ってわけか。 怒れ怒れ、興奮しろ、そら、もっとだ」 煽ると余計に目の前の勇者がヒートアップする。 「お前の目の前でケルベロスと交わってやろうか?」 勇者の目が見開かれ、みしみしと勇者を包んでいる鉱石と根がきしみ始める。 「……!……!!」 「安心しろ、全てが終わったらお前にまたケルベロスを任せてやるよ」 後ろの呻き声など気にも留めず、私は歩き始めた。 さあ、終幕の幕開けだ。 * いつかの日のように眠るケルべロスの頭を撫ぜつ、座るロガスに語り掛ける。 捻じれを解く前に、まずねたばらしをしようか。 木の魔王と呼ばれる二人は、元々魔物らしさを抑え込むことに成功していた風と金の出身者だった。 風の国のイラクサと金の国のリードは大変仲が悪かった。 お互いにあいつは魔族の血を引いているから人の国を統治するのに相応しくないと言い合って、自分の立場を担保するために風と金双方の血を引いた木の姫を嫁にした。 木の姫、ホルテンジーとオルテンシアは双子だったが、ホルテンジーが行方知れずになってしまったので、残ったオルテンシアが二つに分かれる魔法を使った。ここで協力したのが私だ。 ホルテンジーの行方?……さぁな、好きな男と駆け落ちでもしたんじゃねぇのか? 見た所じゃあホルテンジーの方が気が弱そうだったが、人間ってのは見た目じゃ分からねえもんだな。ザウベラもそういう所似てるよなぁ。……似た者同士だよなぁ、あいつらは。 幸せに暮らしてるみたいだぞ。 コピーされたオルテンシアは完全にホルテンジーの代わりを務めあげたよ。 元の自分の性格も忘れちまうくらいにな。 ホルテンジー……いや、ホルテンジアと呼んでおこうか。ホルテンジアはお前の知っての通り、レインと名乗って冒険し始めた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.05.10 23:51:39
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