風見しんごさん長女(つづき)
その日、亡くなった息子の、生きた証を確認するかのように、私は夜中に育児日記を読んでいた。育児日記と言っても、ノートに書かれたものではなく、毎日のように実家の母へ、息子の様子をつづったFAXをファイルしたもの。赤ちゃんのころの息子。言葉を話せるようになった頃のこと。泣いた、怒った、笑った・・・。保育園での様子を知らせてくれる、「連絡ノート」の中にも、エピソードが満載だった。たとえば、こんな内容のもの。【平成3年10月21日】(平山先生)きょうのお昼はお弁当だったので、ゴザ敷いて外で食べました。ほとんど食べ終わっていたはずなのに、とりのからあげをおいしそうに食べていたので「誰のお肉?」と聞くと、テレた様子でどんどん逃げて行きました。「ミキちゃんの?」と聞くと首を横に。「ジュンちゃんの?」と聞くと、ウンとうなずいていました。【平成5年2月2日】(斉藤先生)食事中のこと。フランスパンサンドで「パンかたいね。でもおいしい」と満足そうでした。「先生のパン食べる?」と聞くと、うれしそうに「うん」と答え「先生のパンってとってもおいしいね」ですって。同じものなんですけど・・・。いつの間にか、泣き笑いを通り越して、爆笑していた私。そのとき、ふとアイデアが浮かんだ。「これをまとめて本にしよう!!」(つづく)