吉村昭の死に衝撃
作家の吉村昭が膵臓癌により死亡、享年79歳。酒を愛飲している精力的なイメージが強かったので病気だったとは知りませんでした。松本清張、司馬遼太郎と同様に私の蔵書が多い作家の一人です。新刊が出るといつも喜んで買っていました。ドキュメンタリータッチというより、記録文学に近い作風です。淡々と述べられる事実が大事件の端緒だったり、歴史が作られていく過程だったりします。当初は「星への旅」など自らが病による死の淵から生還したせいか死を題材として扱う小説が多くありました。そして自分が多感な時期過ごした戦中もの、晩年といったらいいのかどうか、その後明治維新前夜の歴史物が多くなっていました。それでも戦中の話が一番迫真性を帯びています。傑作はやはり「戦艦武蔵」や「ゼロ式戦闘機」なのでしょうか。もう新しい作品が読めなくなるとなると本当に寂しい思いです。冥福を祈ります合掌