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カテゴリ:観劇日記
もしかしたら、今月、ここが一番好きかもしれない…と、思いました。
なのに、一番最後なのよね、ここが。国立劇場の元禄忠臣蔵いいとこつなぎ。私は、孤高のリーダー役は吉右衛門が一番好きなので、大石にしろ大星にしろ、勧進帳の弁慶や熊谷なんかも、今見られる役者の中で選ぶなら吉右衛門がいい。だから、今月のここの大石だって、ハズレはしないとは期待してました。でも、期待以上の要素も感じなかったから、チケ取りは最後の日程になってたんですよね。 もっとも、14日のスケジュールが空いてたら、その日に見ていたんだろうけど。 今日、ようやく身に来て、最初から最後までシミジミ「やっぱり吉右衛門の忠臣蔵はいいなぁ」と思って帰ってきました。吉右衛門だけじゃなくて、他も良かったから、だとは思うんですけどね。 まず、勧進帳の義経がこの人以外は嫌だと思うくらい好きな梅玉さん。悲劇の貴公子はこの人の芝居が一番好きなので、元禄忠臣蔵の浅野ならやっぱり梅玉asマイベストだなぁ…それに、真山青果の芝居って、梅玉さんで見るのが、私は一番しっくりするんですよね。声といいセリフ回しといい。 だから、のっけからその気になっちゃう。 目付の多門伝八郎って、映画作品でも素敵な役だと思うけど、今日の歌六さんのもピリッとスキっとカッコいい。ここでさらに気持ちが1段アップ。 田村右京太夫は、大抵の映画作品ドラマ作品では憎たらしい役作りな印象があるけれど、源力忠臣蔵だとそうでもなくて、それが今回は東蔵さんだから余計に「悪いヤツ」とも「嫌なヤツ」とも思えず、むしろ「もしかしたら味方なのかもしれない」と思っちゃうくらい。そのせいか、辞世を読み上げて決まる浅野・梅玉を最後まで堪能して終わる…うーん、いいかも。 しかも、この後が御浜御殿、そして最後の一日という組み合わせって、凄いですよね。いいとこどり。 忠臣蔵するなら、やっぱり刃傷と判官切腹は欲しい。でも元禄忠臣蔵なら、華やかな場面はお浜御殿しかないんだから、これがないと一貫して暗いばっかりになっちゃう。だからはずせない気がする。そして、もっとも人気で上演回数の多い最後の一日は、なるほど完成度が高いというか物語性が素敵というか、観ていて満足度が高いから、真山青果をやるならこれもハズしてほしくない。 そう思うと、今年の内容はマイベスト元禄忠臣蔵と言えるかも。 しかも、吉右衛門の大石だもんな。 御浜御殿の綱豊卿なら仁左衛門のが好きかもしれないし、お喜世は芝雀のが好きだけど、どちらかと言えばおみのは福助のが気に入ってるんだけども、とにかく大石が吉右衛門だってことの影響が一番大きい… で、御浜御殿では、新又五郎の富森助右衛門が気に入ったし、玉太郎を久しぶりに見たし!、歌江さんの浦尾は真面目なだけで別に意地悪そうには見えないところが好きだったりして、ついつい集中して観てしまいました。ホント、問答のところは手に汗握ったかも。 私は、上から目線で助右衛門に自分の予測をぶつけて真相を語らせようとする綱豊があまり好きではなく、作り阿呆の件で助右衛門から逆襲されてザマーミロって思っちゃう。だから、言い返された悔しさに、そんな気はないのに「浅野家再興をお願いしてやるから、もう仇討できなくなっちゃうよーだ」と言って溜飲を下げるところも嫌い。綱豊卿、後の6代将軍家宣は、大したことないと思っちゃうくらい、この物語に描かれている姿は好きじゃない。 なので、最後に能舞台の裏で、綱豊卿が助右衛門に説教して終わる展開もムカつくんだけども、ここはね、やーい、お前は将軍になってもすぐ死ぬんだよ、お前のセガレも子供のまま死んじゃうんだよ、その後暴れん坊将軍が紀州の田舎から出てくるんだよっ!と心の中で毒づいて終わるのでした。あはは(爆) でもね、今日は御浜御殿だけで終わらないで、その後にあの素敵な最後の一日がついてくる。そこがねー、今月ここが一番好きかもしれないって感じるポイントなのかも。 錦之助の磯貝も好きだしな。 鷹之資が出てきて、ああ、トミーさんが亡くなって1年たつなぁ、この子、久しぶりに見たなぁ、細川の若殿としてはイマイチかな(爆)なんて思ったのもつかの間。おみのが出てきてからは泣けるしドキドキするし、いやぁ、やっぱり忠臣蔵は、どのお話しでもどんな解釈の演出でも、つくづくいいなぁ(笑) 歌六さんも良かったしね、ホント、最後は、泣きそうでしたゎ。 うーん。 中村座の昼の部を2回見るくらいなら、こっちに来た方が良かったのかもしれない…と、今さら思っても後の祭り。いいや、一度でも、たっぷり堪能できたんだし、見逃さなかっただけでも良しとしよう。 タイトルにしたのは、最後の一日に出てくるキーワード。なんだかんだ言っても、最後の一日で〆られたので、日記を書こうと思って最初に浮かんだ言葉もやっぱりこれかなって、そんな感じ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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