カテゴリ:ある女の話:カリナ
今日の日記(嵐スペシャルドラマ「最後の約束」と「龍馬伝(初回)」の感想☆)
「ある女の話:カリナ69(職場と同僚2)」 「ヤベ~な。 6時には着くつもりでいたのに…。」 「会社に電話しておこうか?」 「うん。頼む。」 その時、会社用の携帯が鳴った。 モリタさんからだった。 「イシタニくん…」 「何?どした?」 「取引先が、何か雪のせいだか何だかで、 こっちに来るのがどうしても無理なんだって。 だからもう今日は大丈夫だって。 慌てなくていいから、お疲れ様だって。」 「なんだよ~。」 イシタニくんは脱力したようにガクンと腰を折った。 「あ~、でも良かったかも。 何だよ、この道~。 何でこんなに動かないかなぁ?」 イシタニくんはジレったそうに言った。 「もし眠いようなら車の運転代わろうか? 昨日遅かったんでしょ?」 「え?ううん。大丈夫。 それに遊んでた俺のせいだからね~。」 「でも、渋滞だと眠くならない?」 「ん~。じゃあ眠くならないように何かしゃべってよ。」 「何か?何かって…何だろう? しりとりとか?」 「あ、ソレますますイライラしそう。 そうだな~、 彼とドライブしてる時って、 こういう渋滞の時どうしてんの?」 「ん~。大体何か歌える曲がかかってるから、 歌ったりしてる~。 後は、眠くなったら交代したり。 眠っちゃうこともあるけど。」 「ふーん。安心してるんだ。 お互いに。 いいね。 俺はダメだな~。 彼女が踏むブレーキのタイミングが怖くて。 だからすぐに代わっちゃうよ。 彼、そんなこと言わない?」 「うん。 運転しないと慣れないからガンバれって言うかなぁ。 でも怖いとこは変わってくれるけど。」 「ふーん。 優しいんだね。」 イシタニくんの言葉にミツルのことを思い出した。 そう言えば、ミツルも同じようなこと言ってたと思って。 「イシタニくんは何歳で免許取ったの?」 「俺?高三の夏休みかな。 でも、結構無免で乗っちゃってたけどね。 先輩の車とか。」 「え?ウソ?!おっかない! もしかして、走り屋とか?暴走族やってたとか? そーいう系?」 「え~?男なんて結構そういうことやってんでしょ?」 「そうかなぁ?」 青山くんは、やってないような気がした。 「ミゾグチさんて、お嬢様?」 「そんなワケないでしょ。そしたら働いてないよ~。」 「ん~、そういうことじゃないけどさ。 なんか、育ちが良さそうな感じがするんだよなぁ。」 またミツルが昔言ってた言葉を思い出した。 オマエはお嬢様だから。 ああもう。 どうしてイシタニくんと話してると、 忘れてた過去がチラつくんだろう。 彼女とケンカした話や、 タバコの香りと車のせいもあるのかもしれない。 好きだけど、嫌い。 私が捨てた男。 「え?今日は私持ち合わせ無いよ。 給料日前だし。」 私が話を逸らすと、 イシタニくんは、またアハハって笑った。 「俺んち、母親が高校の時いきなり死んじゃってさ。 何だろ、何にもやる気なくなっちゃって。 その時に、仲良かった近所のにーちゃんがさ、 いなかだからさ、庭が広いんだよ。 庭って言うか、そこは空き地って言うか、 私有地なんだよね。 そこで車の運転教えてくれたりなんかして。 まあ、他にも悪さ覚えさせてもらったけど。 マージャンもタバコも、いろいろ。」 「あ…そうなんだね。」 サラリと母親が亡くなったことなんて言うので、 何て言っていいのかわからなくなった。 少し淋しい空気が流れた。 それでも無言でいることで、 イシタニくんに気を遣わせるのは嫌だった。 もしも私が彼女だったら、 何もやる気なくなるかもしれないね…って、 肩を抱くことも手を握ることもできるかもしれない。 女友達なら、そんな言葉をかけてたかもしれない。 でも彼は男だから、 だから、 何だかしんみりしたくなくて、 親のことから少し話を逸らすように言った。 「じゃあ、不良って言っても、怖い不良じゃないんだ? 人より少し大人になるのが早かったって感じ?」 「大人のマネごとだよね。 って、怖い不良って何~? でも不良って言い方、今あんまり聞かないよね?」 「そうだね。何て言うんだろ?悪いヤツ?」 「あはは!悪いヤツ? どんなヤツだよ~!」 車の中で悪いヤツのイメージをお互い言い合ってゲラゲラ笑った。 イシタニくんの笑顔を見てたら、 空気を換えられて良かったって思った。 そんなことを言ってるうちに赤いブレーキランプが減ってきて、 車が流れ始めた。 あ、事故だったみたいだね…って、 へこんだ車を通り過ぎながら眺めた。 ふと、自分が付き合ってるのは青山くんじゃなくて、 イシタニくんみたいな錯覚を起こしそうになる。 まるで、ずっと昔からいっしょにいたみたいに、 隣にいることが自然に感じた。 なんで? それでも、心の中で首を横に振る。 青山くんに早く会いたいな… 流れて行く景色を見ながら、私はそう思った。 前の話を読む 続きはまた明日 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年01月10日 22時34分37秒
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