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2023.12.25
テーマ：最近観た舞台(124)
カテゴリ：舞台・音楽・芸能パーフォマンス等々論
フルオーディションVol.6 ミュージカル 東京ローズ 新国立劇場演劇2023/2024シーズン、 新国立劇場小劇場、
台本・作詞：メヒリー・ユーン/カーラ・ボルドウィン、作曲：ウィリアム・パトリック・ハリソン、訳詞：土器屋利行、音楽監督：深沢桂子/村井一帆、翻訳：小川絵梨子、演出：藤田俊太郎、 東京ローズと呼ばれた女性アナウンサーの代表のように扱われているアイバ・トクリの生涯を、出演者6人全員が、日系2世としての米国での学生時代から米国で国家反逆罪に問われる結末までを順に演じ分ける。アイバを演じるもの以外は、そのシーンに登場する他の様々な人物に扮する。 以下、アイバとしての登場順に。山本咲希：他に7役、鈴木瑛美子：他に5役、原田真絢：他に6役、飯野めぐみ：他に7役、シルビア・グラブ：他に6役、森加織：他に１役、  図1 新国立劇場 東京ローズ チラシ・半券・場内配付資料より ニャンスケが初めて日本で観たミュージカルは劇団四季のコーラスラインだった。1979年初演。あのときの日本人による舞台は、そのすぐ前一年間、アメリカ東海岸でミュージカルを見ていたせいもあり、一挙手一頭足に、そして歌声に、まるで伸びも張りも無くママゴトのように感じられてしまった。当時十分著名だった俳優も大勢出演していたのが・・・詳しい思い出は後で別の項にまとめよう・・・ どうしてもミュージカルと名のつくものを見るとニャンスケはあのコーラスラインの惨状を思い浮かべてしまう。 あれから45年、東京ローズの舞台、開幕して直ぐ、感じた、まさに隔世の感である。完全なアンサンブル、動きも声もダイナミックに躍動している。アメリカのミュージカルは、個性という名の荒削りさが常に伴っているが、日本製の舞台だと、それは一寸トリミングされ洗練される。だからある意味今や世界最高のクヲリティー。 東京ローズは、第2次大戦中、日本軍が太平洋に展開する英米軍の繊維を削ぐために東京から流したプロパガンダ放送を担当した女性アナウンサー達の総称で、皆が東京ローズと名告っていたようである。それが米国籍だったアイバ・トグリ一人の所為として米国内の戦犯裁判にかけられ、10年の有罪判決、市民権剥奪という刑を受けた。拘置されたのは6年、そして恩赦によって市民権を回復できたのは1977年だった。 ニャンスケが先ず注目したのは、この物語をミュージカルにしたのが英国人で、英国で公演されたものであるということである。初演から4年ほど経った今、日本語版が出来て本日の本公演に至っているのである。東京ローズの存在は日本の社会より英国社会で意識されていた、と即断するのは一寸早とちりかも知れないが？ 訳詞が音楽に合わぬ、という問題は明治以来の課題であったはずであるが、今回の公演では全く違和感が無い感じに聞こえていた。翻訳が、その考え方から含めて進歩上達しと考えることが出来そうな気がする。 今回オーディションで選ばれた6人、一番若い山本咲希からシルビア・グラブなどベテラン勢まで、全員が学生時代のアイバから東京ローズ時代、裁判被告、日本の雑貨商食品を売っている店をやっている晩年のアイバまでを順に演じていく。6人がそれぞれの時代を受け持ってアイバを演じているのであるいが、そのつながりが極めて自然、シームレスに役がバトンタッチされている。更に言えば、演者全員がそれぞれに併せ持っている様に感じられるアメリカでの市井の生活感覚と日本での市井の生活感覚。そして、アイバが始めて日本に入ったときの違和感の場面も併せて、スイッチが差切り替わる感覚。6人の演者それぞれが持っている実体験が舞台の基調に確りオーバーラップしているように感じられる。 細かくいえばいろいろあるかも知れないが、ザックリいえば全員好演、完璧な演技でアイバ・トグリの人生と人物像が描き切れている。これは名作名舞台と記憶されるように思える。 感激を有り難う。  東京ローズ 【電子書籍】[ ドウス昌代 ]  【中古】 東京ローズ 戦時謀略放送の花 / 上坂 冬子 / 中央公論社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】  【中古】 東京ローズ 戦時謀略放送の花 / 上坂 冬子 / 中央公論社 [文庫]【宅配便出荷】  【中古】 東京ローズ 戦時謀略放送の花 / 上坂 冬子 / 中央公論社 [文庫]【ネコポス発送】  【中古】 東京ローズ / ドウス 昌代 / 文藝春秋 [文庫]【宅配便出荷】 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
最終更新日
2023.12.25 17:30:42
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