カテゴリ:大和絵
これはご存知、源氏物語絵巻。
今では、断簡として残っているだけで、しかも、人気の場面・・ほど、消失してしまっており、国宝指定を受けているとは言え、遺された作品はどれも、少々、メジャーな話題ではない? 場面ばかり・・・・ なぜ??・・・と言うと、これは藤原隆能(ふじわらたかよし)、という名人の作品で、この人は、とにかく当時ダントツの人気絵師。 しかも源氏物語を描いた巻物は、それはもう、ヨダレモノ・・・。引っ張りだこだった訳です。 DVDもビデオもない時代。映画もなければ、グラビア雑誌もありません。 ヴィジュアルな出版物?は、絵しかない。 写真すらないので、・・・しょうがない。 宮中のお姫様方は、普段やることありませんから・・・ お楽しみは、双六とか、扇子投げとか・・・・ 何より好きなのは、読書。そして、最高なのが、絵巻物! ということで、取り合いになるくらい、隆能の絵巻は、絶大な人気を誇っておりました、・・・ 中でも、有名な場面ほど、争って見ていたらしく、やつれて、よごれ、やがて磨り減って、見るに耐えなくなって・・捨てられていった・・・・のでありましょう。 絵が描いてあって、時々、詞書が入ってくる。 それも、当時の名筆と言われた人達の、それは雅な美しい字、ですから、たまりません。 当時、姫君たちの大切な修養は、書道。恋文を和歌として、愛しい人に送らねばならないからです。キタナイ子供っぽい字なんか書いてたら、・・・もー、絶対キラワレル! つまり、この源氏物語絵巻は、ヤンゴトナイ姫君たちの心をわしづかみにしていた・・・と思われるのです。 冒頭の桐壺、に始まり・・最初の人気場面は紅葉の賀でしょうか?、・・これは光源氏の君が親友頭の中将と二人で舞うところ・・・超イケメン二人の・・・・ 姫君たちが心ときめかせて・・・飽かず眺めたがるシーン・・・があり・・・他にも、蹴鞠の場面なんか、真っ先にやつれてダメになったんじゃあないでしょうか・・・? スポーツマンの貴公子は今と同じ・・・超人気スター!! ですから!! 【もののあわれ】、は今も昔も変わりません・・・ それに引きかえ・・・例えばこの【柏木】(かしわぎ)の段、 これは後半、宇治十条の場面で・・貴公子柏木が若くして病の床に・・・死んでしまうのですが・・・つらい悲しみに暮れるシーンなんです・・・ ![]() こんな、悲しいシーンはまだしも・・・・ こちらの、蓬生【よもぎう】 ![]() これなんか、気の毒にも一番オヘチャ? とされた、その名も末摘花(すえつむはな)という姫を、昔、一度関係したのをふとしたことで思い出した光の君が、シモベの惟光を先導させて、久しぶりに訪れる・・・・と・・・ブス故に、誰にも構われずさびしく暮らしていた・・・という、ちょっと悲しすぎる話。 このシーンなんか、並み居る姫君たちは、身につまされて、見たくなーーい!・・・・つまり、絵は、汚れなーーい、破損しなーい・・・遺される・・・・ と言う訳なんですね。 誠に大らかな時代・・・で 現在、有名な国宝とされている源氏物語絵巻は、当時の姫君たちが顧みなかったもの・・・なのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年07月03日 03時34分49秒
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