日本を今一度、洗濯いたし申し候

　日本人は本当に英語が好きだなとつくづく思います。
英語が好きなのは結構なのですが、かなり度を越して、病気じゃないかなと
思うレベルにまで達していると思います。ある有名な英会話関連の会社で、「日本はかつて植民地支配を受けたことがないから英語が下手なんだ。インド人達や香港系の中国人などはイギリスの支配を受けた過去を持つから英語がうまい」と言う記事があり、驚きました。日本が植民地支配を受けずに済んだ事は、我々のご先祖様達が血を流してこの国の独立を守った結果であり、植民地支配を受けた国々はそれなりの屈辱を味わっているのです。それを、単に英語がうまくなりたいからと言うだけの理由で、日本が植民地支配を受けなかったことが、さも不幸であるかのように書くのは、病気と言わざるを得ないでしょう。
　もう一つ、私が大きく懸念しているのが、英語の早期教育です。今の多くの親御さん達はさしたる教育理念も持たずに、ただ英語だけを盲目的に子供に学ばせようと必死になっているように思われます。NHKの英語で遊ぼうと言う番組を見ていても、ただ英単語を子供に反復させて唯ひたすら踊って歌っているだけです。物凄く低レベルな番組で、逆に子供の能力を低下させるのではないかと懸念しています。また、このようなことをしたところで、中身のある英語は何も身には付かない上に、日本人として備えなければならない日本語の読み書きや思想教育がおろそかになるのは間違いないでしょう。そうして育った子供さん達は自分がどこの国の人間か、自分の住んでいる国がどういう国かもよくわからない人達に育つでしょう。こういう人達が、世界では最も軽蔑されます。私が、カナダに居た頃、よく各国の人達が集まり、自国の文化をよく紹介しあったものですが、日本人だけはどうしたことか、余り自国の伝統に詳しくないと言う恥ずべき人達が多く、結果として日本が目立たないケースが多かったものです。仮に、上記の英語教育で英語が堪能になったとしても、しゃべる内容がなければ、それこそ世界で通用しないのです。

数学者の藤原正彦さんが次のようにおっしゃっています。

英語教育は重要だが、重要だからと言って、小学校の授業に取り入れるのは間違いである。1週間の授業日数が限られている中で、何が重要か優先順位を決める必要があり、その時英語教育は日本語の読み書きや思想教育に比べて、優先順位が低い。だから、小学校教育に入れるべきではない。（要は時間の余裕がないということです）

　余談ですが、世界に通用する子供の名前と言うものをよく見かけます。代表格はジョージ、エリカ、アンナなどと言ったところでしょうか。世界に通用しない名前とは何かと言うことを、逆に質問したくなります。世界に通用しない名前などあるはずがないのです。名前はただ、覚えるだけのものだからです。覚えるのに時間がかかるか、かからないかの差は有るかも知れませんが、そのようなことは取るに足らないことだと思います。日本人は英語に対する信仰をもう少し冷静に見るべきです。