272077 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

日本を今一度、洗濯いたし申し候

日本を今一度、洗濯いたし申し候

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

hitokijin

hitokijin

Category

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Freepage List

2011年01月17日
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

ワークライフバランスについてのビミョーな違和感

Business Media 誠 1月17日(月)11時25分配信

 しばらく前から"ワークライフバランス"という言葉をよく聞くようになりました。背景として、「現在の日本ではワーク(=仕事)に配分される時間が長すぎて、ライフ(=個人生活)への時間配分が少なすぎる」という問題意識があるのでしょう。

 ただワークライフバランスが語られる時、"微妙な違和感"を覚えることもよくあるので、それをまとめておきたいと思います

1.過重労働とワークライフバランスは別の話

 日本で労働者があまりにも過酷な労働環境下に置かれ、過労死やうつ病が増加していることが問題になっています。サービス残業やみなし管理職問題も、社員の忠誠心の範囲内とはとても言えないレベルのひどさです。残業代を払わない、有給休暇を取らせないといったことは違法行為であり、異常な労働時間を強いるのは時に人権問題でさえあります。労働法規違反は犯罪としてきちんと取り締まるべきです。

 ワークライフバランスとは"病気にならない程度に働く"ことではありません。カタカナの流行語を持ち出すまでもなく、まずは適法な労働環境を確保することが必要です。

2."いいとこ取りの議論"は無意味

 ワークライフバランスの話はたいてい欧州との比較で語られます。フランスやドイツ、スウェーデンやイタリアといった欧州に住んだことがある人が、彼の地のワークライフバランスがいかにすばらしいかを強調します。

 一方、韓国ではひと昔前の日本のようなワーク偏重の傾向もまだ強いですが、日本人が注目するのは「いかにサムソン電子に国際競争力があるか」という側面ばかりです。米国のトップエリートも日本の経営者よりよほど大変な環境で働いているように思えますが、それらが取りざたされることも多くありません。

 技術革新やアイデアの独創性ではシリコンバレーにかなわないと嘆き、ワークライフバランスでは欧州に比べてあまりにも見劣りするとぼやき、成長可能性において中国やインドと比べものにならないと悲観する。そんな国際比較をすることに意味があるでしょうか。必要なことはまず、私たちが全体としてどんなタイプの社会を志向しているのかを考えることです。

 例えば欧州の多くの国では消費税は20%に近い水準です。これは徴税面でも「ワーク(仕事からの所得税)ではなく、ライフ(消費生活からの消費税)に重点をおいた税制」と言えます。一方、所得税や法人税の高い日本の税制は、今でも「ワークから付加価値が生まれる」という思想に基づいています。

 また、欧州ではベビーシッターや家事ヘルパー、介護職やサービス業など人手のかかる産業に、低賃金で働く移民が大量に流入しており、それによって社会のインフラコストが低く抑えられてきました。これも人々が、(残業時間など)ワークの時間を減らしても生活が維持できる理由の1つです。

 このように国のあり方というのは総合的な設計によって決まるものであって、"いいとこ取り"の議論には意味がないのです。

3.「9~17時の仕事をすること=ワークライフバランス」ではない

 ワークライフバランスとは、「一切残業をせず、9時~17時の仕事をすること」なのでしょうか? 多忙な仕事をすることは「悪いこと」なのでしょうか?

 例えば「めちゃめちゃ働く5年間」→「主夫として子育てに専念する2年間」→「9時~17時で働く3年間」→「めちゃめちゃ働く5年間」→「1年間放浪、もしくは留学」のように、人生全体としてバランスをとるのも、ワークライフバランスと言えますよね。

 年間で見ても「むちゃくちゃ働く9カ月+南の島でぼんやり過ごす3カ月」の方が、「1年中通して9~17時に働く」よりバランスが良いと思う人もいるはずです。

 また、仕事内容や勤務時間が同じでも、在宅勤務になるだけで、十分にワークとライフのバランスがとれる人もいるでしょうし、会社員を辞めて自営業となり、スケジュール管理が自分でできるようになるだけで、たとえ労働時間が長くても「いいバランスだ!」と思う人もいるはずです。

 ワークライフバランスという概念を"残業時間"とか"週当たり労働時間"のような偏狭な定義の中に閉じ込めず、個々人がその時々に自分にとってのベストバランスを追求できるような労働市場を作っていくことが重要なのです。

●ワークとライフがバランスできない理由

 突きつめて考えると、ワークとライフがバランスできない理由は、ワークの生産性が低いか、ライフの生活コストが高いかのどちらかです。仕事の生産性が低いと長時間働く必要がありますし、生活コストが高すぎると残業を増やしてでも収入を得る必要が出てきてしまいます。

 そのため、ワークライフバランスの改善には、生産性の向上と生活コストの切り下げの少なくともいずれかが必要です。生産性を上げるには、個人と組織の両方で仕事のやり方を変える必要があります。無駄な会議や決済プロセスを省き、ITを利用してより短い時間で従来と同じ収入が得られるようにするのです。

 また、生活コストを下げるには、お金をかけない生活様式に転換したり、格安な社会インフラを整備する必要があります。具体的には子どもの大学進学費用は本人に借りさせるとか、あまりにオーバースペックな社会インフラを見直して低価格化させるなどです。

 ワークライフバランスというのは、個人の人生設計の仕方や社会のあり方、企業や産業の生産性の問題などと深くつながっています。「長時間働くことによって初めて生活が成り立っている人」が多い社会をそのままにして、いくら声高にワークライフバランスを叫んでも、なんら具体的な解決にはなりません。景気が悪化すれば「喜んで長時間働く!」という労働者が市場にあふれてしまうのですから。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011年01月17日 17時20分54秒



© Rakuten Group, Inc.