2027888 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2005.01.30
XML
アマゾンで注文していたCarolyn Muessig(ed.), Precher, Sermon and Audience in the Middle Agesが届く。論文集だけれど、これは自分の研究にとってかなり有益なものになりそう。

ヨーロッパの色彩悪魔の布
ミシェル・パストゥロー『ヨーロッパの色彩』(パピルス)読了。原著のタイトルはDictionnaire des couleurs de notre tempsで、これを忠実に翻訳すれば『現代色彩事典』となる(訳はあとがきより)。青、赤など、色そのものに関する記事もあれば、カメレオンなどの動物、トイレット・ペーパーやシーツなど身近なもの、ストッキングや下着などの衣類、サッカーやオリンピックなどのスポーツ、などなど、多くの記事がある。全部で76の記事。「はじめに」で著者自身述べているように、個人の好みが書かれている。でもそれは書かない方が良かったのでは、と思ってしまう。ああ、そのおかげで面白い記述はあった。「かわいそうなクマちゃん」というのがそれだ(102頁)。パストゥローといえばとても面白いことをしたらしいのだけれど、それは後述するとして、もう一点本書に関する指摘をば(学問的な指摘ではないけれど)。「青の色階に含まれる食物はまったくといっていいくらい存在しないのである」(115頁)。で、いろいろ考えてみたけれど、たしかに青い食べ物って思い浮かばない。かき氷のブルーハワイくらいかな。

で、パストゥローがした面白いこと。彼の著作に、『悪魔の布-縞模様の歴史』(白水社)というのがある。邦訳がでている。中世では、縞模様は否定的な意味合いをもっていた。図像表現において縞模様の服を着せられた人々は、なんらかの意味で疎外されたかあるいは排斥された人々であった(8頁)。ところが、現代では否定的な意味ばかりではない。現代の縞模様という章で、パストゥローはシニャル社の歯磨きに言及している。これは、「白い歯磨きの周囲に赤い縞をつけているのだが、チューブから出てくるときの見栄えは見事である」(106頁)とのこと。ちなみに、私が愛用しているOra2もストライプになっている。日本には三色ストライプの歯磨きがあるけど、ちょっと名前を忘れてしまった…。それはともかく。パストゥローは、なぜ歯磨きが縞模様で出てくるのか知りたかった。そこで、「シニャル社の歯磨きチューブを分解し、解体しさえした(「めちゃめちゃにした」というべきだろうか)」のだ。結局その謎は「わからなかったと告白せざるをえない」とのこと(139頁)。シニャル社に聞いてみればよいのに、と思ったけれど、企業秘密で教えてもらえないのかな。
ミシェル・パストゥローは、紋章学、色彩学、図像学の歴史の権威といえるだろう(彼の邦語になっている著作は全て持っているので、興味がある方は所有作品一覧を参照してください)。でも、『悪魔の布』のこのくだりを読んで、とても親しみやすいものを感じた。歯磨きチューブがめちゃくちゃになって、片づけている姿を想像すると笑ってしまった。
さて、今日の日記のタイトルにした『ヨーロッパの色彩』は、とても手に入りにくい。どうも絶版になっている様子。必死で検索していたらジュンク堂に一冊在庫が残っていたので注文、購入できたという経緯。手に入ったときは、とても嬉しかった。やっぱり本は、コピーじゃなくて本の形で手元においておきたい。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.02.14 21:12:19
コメント(0) | コメントを書く


Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

My favorites♪ torezuさん
姫君~家族 初月1467さん
偏った書評ブログ mnmn131313mnmnさん
海砂のつらつら日記 kaisa21さん

Comments

 のぽねこ@ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
 シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
 のぽねこ@ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

© Rakuten Group, Inc.