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2006.02.12
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真夜中の五分前(sideーB)
本多孝好『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-B』
~新潮社~

 一卵性双生児の姉妹の一人、かすみと付き合い始め、二年が経った。
 その間。
 かすみは、妹のゆかりとともにスペインに旅行に行っている際、事故で死亡した。
 上司の小金井さんは仕事をやめ、僕も仕事をやめ、温泉地の町おこしの件で知り合った人物-野毛さんのもとで働き始めた。僕がもと勤めていた会社は、大手の広告代理店に併合された。
 ある日、ゆかりの夫、尾崎さんから連絡があった。いまの自分の妻が、ゆかりなのか、かすみなのか、分からない-。そういう話だった。
 僕は野毛さんの、いわば道楽ともいえる事業で、経営不振の店を建て直させる仕事をしていた。いままで出かけた店は四軒。全て、成功していた。そして僕は、また新たな店を手がけることになる。

 今回もやはり、メモ程度にあらすじは書きましたが、本当にメモ程度です。
 本書も素敵でした。かすみさんと付き合い始める中にも、僕とかすみさんの間にはいろいろな痛みがあったわけですが、うまくいき始めたときの、かすみさんの死。事故には姉妹とも巻き込まれており、生き残った方がかすみさんなのかゆかりさんなのか、それは尾崎さんにも僕にも、そして生き残った本人にもわからない。どうしようもなく苦しい状況だと思います。
 僕は、久々に小金井さんと再会したとき、ある忠告をうけます。そしてある行動を起こし、それから、少し-それまでとは違った、スタートを切ることになります。
 小金井さんも素敵だし、野毛さんも素敵です。渋谷のバーのオーナーもバーテンも素敵です。オーナーが回していた、どんぐりのこま。なぜかとても印象に残っています。学生時代、僕が水穂さんとよく通っていた喫茶店のマスターも素敵だし、水穂さんのお父さんも、どこか不器用で、とても素敵です。

 今年の12月末にも、きっと私は「今年読んだおすすめの10冊」を選ぶでしょう。本作-side-Aとあわせて、『真夜中の五分前』はその中にいれよう、と思いました。
 そう、結局、僕の名前は一度も出てきませんでした。


追記。
読んでいるときには、ここにはふれておきたいと思いながら、書き忘れていました。
僕は、大学時代の恋人、水穂さんの影響で、目覚まし時計を五分遅らせています。水穂さんが亡くなってからも、その習慣は変わっていません。
私事になりますが、私はむしろ少し進めています。最近では、目覚ましは携帯電話の機能を利用していますので、実際に起きたい時間より2,3分前に目覚ましをセットするようにしています。つまり、時計を遅らせる、というのは、私の感覚ではありえないのですが、それがとても素敵なことに思われる描写がありました。その部分を引用しますが、一応文字色を変えておきます。
「僕は枕もとの時計を見た。もう少しで日づけが変わるところだった。とするなら、世界の日づけはもう変わっているのかもしれない」(90頁)。こんな風に思えるのは、なんだか素敵だな、と。
時間に厳格で時間に追われている私ですが、たまにはこんな風に思えるようなゆとりももちたいものです。といって、別段、ゆとりなく暮らしているという感覚はありませんけれど。

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Last updated  2006.02.12 09:43:00
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