カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
岡崎隼人『少女は踊る暗い腹の中踊る』 ~講談社ノベルス、2006年~ 第34回メフィスト賞受賞作です。作者の岡崎さんは岡山県在住だそうです。本書の舞台も岡山です。ものすごくうちの近所のような気がするのですが…。あぁ、でも本書の舞台に出てくる学校の数を考えると、違うような気もします。 バイオレンスな作品です。以下に、内容紹介と感想を。 父親を継いでコインランドリーの管理をしている俺-北原結平。最近、岡山市で乳児誘拐事件が続いていた。つい先日、四回目の事件は、俺が住んでいる穴見で起こった。 事件から三日経った日のこと。コンビニに立ち寄っていた俺は、駐車場にとめた原付きに、少女が近づいているのに気づいた。少女に近づくと、少女は走り去る。開けっ放していたメットインの中に入れていたトートバックは原付きのそばに置かれていた。かわりに、メットインの中には両足のちぎれた赤ん坊の死体が入っていた。 九年前。俺が見殺しにしてしまった女性と、少女が俺の中で重なっていく。俺は少女を探し、乳児誘拐事件に一つの解決を作り上げようと画策する。 その頃、俺に近づくウサガワという男。ウサガワは、マスコミによる乳児誘拐事件の扱いをしのぐほどの大事件を-一家惨殺事件を繰り返していく。 ミステリーテイストのところもあるのですが、とにかくバイオレンスです。 ウサガワが起こす事件もひどいですが、俺が事件に別の形を与えようと動く過程でも、暴力のオンパレード。あんまり読まないジャンルです。装丁と本書の体裁(一段組み)もあってか、どことなく舞城王太郎さんの雰囲気を感じます。でも文体はずいぶん違いますし、やはり方向も違いますかね。 冒頭でもふれましたが、舞台は岡山県です。馴染み深い地名や学校名がたくさん出てきます。岡山弁も自然に読めました。岡山弁を文字にしたら読みにくい、という思いはあるのですが、本作ではあまり気になりませんでした。勢いがあるからでしょうか…。 えげつない設定ですが、それほど気分がふさぐこともありませんでした。あんまり深く考え込むとどつぼにはまりそうなので、あまり考えないで読んだのはあるかもしれません…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.06.18 11:23:43
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