カテゴリ:本の感想(その他)
合同企画で、新刊部門と古本部門それぞれ5冊ずつ、ベストを選んでみましたが、こちらは例年している自分なりの企画ということで、別の記事として書くこととします。
また、自分にとってのベストと、おすすめは厳密には違う気もするので(たとえば、『涙流れるままに』は大好きですが、それまでの作品を読んでおいた方がより楽しめる作品なので、いきなりおすすめとするのも難しいかと考えます)、こちらの記事も無駄ではない…と思いたいです。 では、今年読んだおすすめの10冊を紹介します。今年は、203冊の小説、ノンフィクションを読みました。順位をつけることを目的としていませんので、挙げる順番は読んだ順番です。 ・島田荘司『ネジ式ザゼツキー』 実はこちらは、2004年のおすすめの10冊にも挙げているのですが、何度読んでも面白いので、今回もおすすめとして挙げたいと思います。奇妙な童話が現実の事件に結びついていく、わくわくする物語です。 ・歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』 ずいぶん評判になった本ですね。私も気持ちよくだまされました。 ・横溝正史『本陣殺人事件』 私がミステリ(もっと広い小説も)を読み始める原点となった作品です。旧家の結婚式の夜に起こる密室殺人事件。金田一耕助さんの最初の事件でもあります。面白いです。 ・梨木香歩『西の魔女が死んだ』 本当に素敵な物語です。魔女はなんでも自分で決めるんですよ。と言う「魔女」のおばあちゃんのもとで、孫娘が魔女修行をする物語。帯の文句ですけれど、本当に涙がとまりません。 ・筒井康隆『文学部唯野教授』 ベストに選んだ『残像に口紅を』ももちろん素敵なのですが、実験的にすぎることを思えば、おすすめするならこちらかなと。文学理論の概略も分かりますし、はちゃめちゃなストーリーも面白いです(どのエピソードも実話をもとにしているそうですが、私には元ネタが全く分かりませんでした…)。 ・加納朋子『いちばん初めにあった海』 デビュー作『ななつのこ』と悩んだのですが、私の中に残っている印象の強さはこちらの方が強いので、こちらをおすすめに挙げたいと思います。言葉を失った女性が見つけた一冊の本。そこからたどられていく過去の事件。こちらは、ラストを思い出すだけで泣けます。 ・辻村深月『冷たい校舎の時は止まる』(上・中・下) 『スロウハイツの神様』もとても素敵だったのですが、おすすめということであえて選べば、デビュー作のこちらをぜひにと思います。一人一人の登場人物をていねいに描いた素敵な作品です。 ・石黒耀『死都日本』 今年は、あまりインパクトのある新刊に出会えなかったですが、こちらは抜群に面白かったです。宮崎県の火山が噴火し、これに対して、日本、さらに世界はどう動くか。そうした駆け引きもとても面白く、また、火山の恐ろしさを認識させられる一冊です。 ・浦賀和宏『記憶の果て』『時の鳥籠』 すみません、2冊まとめてですが、裏表をなす作品だと思っていますので、お許しください。コンピュータの中に生きる電子頭脳をめぐるデビュー作。デビュー作に登場する二人の女性が主要人物で、過去へのタイムスリップを描く第二作。どちらも面白いです。 ・小路幸也『カレンダーボーイ』 おさななじみである40代の大学職員と大学教員の二人が、小学生の頃と現在を行き来するようになり、過去に亡くなった同級生の女の子を救おうとする物語です。こちらも、ラストは涙なしに読めませんでした。素敵な物語です。 また、特別賞として、夢野久作『ドグラ・マグラ』と、ポー『モルグ街の殺人事件』の2冊を挙げておきましょう。いずれもミステリの古典的名作です。 ーーー 早いもので、2007年も終わりですね。 残念なニュースが多かったですが、実は、たとえば食品偽装については、いままで報道されていなかった偽装が一気に表に出てきて、対策が練られるようになってきたことを思えば、それはプラスなのではないかとも思います。逆に、いままで何年も(十何年、あるいは何十年も)偽装が行われてきたわけですから、いままでの方がもっと「偽り」が横行していたわけですよね。 私生活の方でも体を崩してしまい、いささか残念ではありましたが、あらためて将来設計を考えるきっかけになったという意味では、良い時間だったのかもしれません。 いつになくプラス思考で書いていますが…。 一方、今年も好きな作家さんや歴史家の新刊がいろいろと出版されたので、その方面はとても充実していました。 来年は、残念なニュースが少なくなることを期待します(不正が明るみに出なければそうなりますが、もちろんそういう意味ではなく)。 それでは、今年も一年間、ありがとうございました。 2008年も、よろしくお願いいたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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