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2012.10.04
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広瀬正『T型フォード殺人事件』
~集英社文庫、1982年~


 本格探偵小説である表題作の他、短編ミステリ1編、短編SF1編が収録された作品集です。
 それでは簡単に、それぞれの内容紹介と感想を。

ーーー
「T型フォード殺人事件」
 元会社社長の泉のもとに招待された客たち。催しの目玉は、45年前に日本に入ってきた、数少ない内の1台であるT型フォードであった。さらに、フォードには、それを泉に提供した疋田医師の叔母―麻里子にまつわる、殺人事件との関係もあった。
 45年前―。麻里子の友人、菊江には、辻井という恋人がいた。その話を聞いた頃、麻里子にも、三田村という恋人ができる。しかし、辻井のもとに遊びに行く菊江に誘われ、一緒に行った麻里子は、次第に辻井に惹かれ始め、彼女の両親も、辻井との結婚の話に積極的になった。辻井との関係を知った三田村に脅迫され、意外な方法で対応した麻里子だが、翌日、事件が発覚する。密室状態であったはずのT型フォードの車内に、辻井の死体が横たわっていたのだった…。
 集まった者たちで、この45年前の事件の謎解きに挑んでいるなか、さらなる事件が起こる。

「殺そうとした」
 自動車教習所で勤務する黒木は、所長の知人の妻である啓子の担当となった。心惹かれながらも、客以上の関係にならないよう注意していた黒木だが、彼女に誘われ、お茶に行くこともあった。その中で、車を使った完全犯罪は可能か、という話になり…。

「立体交差」
 立体交差の工事のため、立ち退き要求をしていた家に、工事の旨を伝えに行った谷千吉は、家の持ち主の中村氏から、不思議な部屋に通される。中村氏が椅子に座り、つまみをいじったかと思うと、次に外に出た時には、周りの様子が一変していた。予定されていた立体交差よりも、さらに整備された道路網が、そこにはあった。そして、20年後の自分だと名乗る者が現れ、街を案内される。そして、元の時代に戻り…。
ーーー

 筒井康隆さんの作品から広瀬さんの作品を知り、最初に読んだのが、先日紹介した『タイムマシンのつくり方』でした。その他、長編などもSFが多いということですが、この表題作は、実にまっとうなミステリでした(SF的な設定が絡むかと勝手な先入観もあったのですが、全くそんなことはありません)。SF作家による(完成度の高い)ミステリということで、筒井康隆さんの『ロートレック荘事件』を連想しながら読みました。
 いわゆる、冒頭あたりで事件とその謎を提示する形ではなく、中盤になってから、事件の様子が描かれるのですが、麻里子さんの立ち振る舞いにより、まさに事件が起こりそうになっていくあたりは、サスペンスの雰囲気もありました。解決編のあり方も、面白かったです。
「殺そうとした」も、よくまとまっている作品です。解説によれば、本作が広瀬さんの処女作だったとか。
 SF作品「立体交差」も、意外な結末で、面白かったです。

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Last updated  2012.10.04 21:47:49
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