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2014.05.03
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池上俊一『お菓子でたどるフランス史』
~岩波ジュニア新書、2013年~


 ものすごいスピードで著作を刊行されている池上先生の最新刊です。以前紹介した岩波ジュニア新書『パスタでたどるイタリア史』の続編です。
 本書の構成は次のとおりです。

ーーー
序章 お菓子とフランスの深い関係
第1章 キリスト教信仰と中世の素朴なお菓子
第2章 略取の名手フランス
第3章 絶対王政の華麗なるデザート
第4章 革命が生んだ綺羅星のごとき菓子職人
第5章 ブルジョワの快楽
第6章 フランスの現代とお菓子

あとがき
フランス史年表
ーーー

 最近読んだ池上俊一『世界の食文化15 イタリア』は、まさにイタリアの食、特にパスタを中心に、イタリア史の背景が描かれていました。『パスタでたどるイタリア史』も、パスタという中心テーマがあって、関連する時代背景が描かれていたように思います。
 一方本書は、フランス史の概要を少しふれたのちに、その時代のお菓子の話、その時代の有名人と食やお菓子にまつわるエピソードの紹介、といった構成が多く、前2著と比べると若干物足りない感じがしました。
 もっとお菓子の歴史を全面に出しても良かったのでは、という印象でした。
 本書のなかで特に面白かったのは、序章のなかの、「受け入れ、同化させる国」という節です。フランス国籍を得るには、長いあいだ「出生地主義」がとられていた(19世紀から「血統主義」と併用)ということ、そうして多様な民族を受け入れる一方で、「ひとたびフランス人になると、移民たちはフランスという国家にいわば忠誠を誓い、国家の基本原理を遵守」しなければならないということ。こうした背景は、イタリアなど他国から入ってきたお菓子の文化をうまく取り入れ、洗練し、フランスの文化として主張していくという流れにつながっていく、という趣旨でした。
 その他、18世紀に幾度も経験するイギリスとの戦争は、砂糖をめぐる戦いだった、という指摘も面白かったです。七年戦争(1756-1763)と並行して行われた大西洋上での戦いに敗れたフランスは、アンティル諸島ではなく、カナダを手放すことにしました。それは、その島々で砂糖がとれたから、砂糖の方を優先した、というのですね。
 歴史上の有名人の、お菓子についての逸話など、面白い話題も盛りだくさんの一冊です。





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Last updated  2016.01.21 23:03:45
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