私信の可能性
私信は凄まじい威力を誇っているのではなかろうか。例えば、一日10万アクセスを記録する有名サイトがあるとしよう。その人の日記は、毎日約10万の人に楽しまれている。その中でたった一つ異彩を放つ「私信」という文字。10万人全員に平等に見せるべきサイト上で、たった一人に対してメッセージを送っているのだ。そのたった一人の気分たるや、相当愉快なのではないだろうか。しかし、私信には最大の問題点がある。友人にしか送れないことだ。これでは、せっかく手軽に満足感を与えられる手法が実にもったいない。そこで、より多くの人へ私信を送ることが出来るような方法を考えてみた。「私信:モニタの前の人へ」完璧だ。私信の持つ可能性を、ほら吹き男の大風呂敷並みに広げたといっても過言ではあるまい。なにせ、そもそもHPを見ている時点でほぼ全員をカバーしているのだ。対象外なのはモニタの後ろの人くらいだろう。しかし、この方法における最大の問題点として、私信ではないことが挙げられる。「私信:アンゴラカルテット属性の方々へ」完全だ。私信の持つ可能性を、強風の日に子供が持つ傘並みに広げたといっても過言ではあるまい。なにせ、誰に対して言っているのか分からないのだ。「え?もしかしてアウシュビッツカロンテラ属性の間違いなのかな。だとしたら僕のことだけど」と思う人が、全国に97億人はいると断定していい。そんな自分なのか自分では無いのか分からない、そわそわワクワク感を読者の皆様にプレゼントしたことにより、日参する訪問者数も10の32乗は増えるであろう。「私信:僕の友人へ」究極だ。私信の持つ可能性を、激痩せしたデブの腹の皮並みに広げたといっても過言ではあるまい。いや、それは少し言い過ぎかもしれないが。なにせ、友達の友達は友達なのだ。友達の友達は友達ならばその友達の友達も友達ということになり、ならば友達の友達の友達の友達の友達も友達という式が仮定されるので、さらに友達の友達の友達の友達の友達の友達の友達も友達となって、世界が平和になればいいのに。