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カテゴリ:続 ごめんね、にゃあ君
第11話
にゃあ実ちゃんが初めて電車の旅をしたのは10月半ば。それからふた月ちょっとで年の暮れ。更にお彼岸と、たて続けに帰省したため、にゃあ実ちゃんはすっかり旅に慣れた。初回にトイレで気の毒な思いをさせてしまったので、以後、できるだけ早く帰れるように気を遣った。ある頃から帰省する時は前日廊下にキャリーバッグを出しておくようにした。にゃあ実ちゃんは面白がってバッグを出たり入ったりしていた。おかげで出発当日、バッグに入るのを嫌がらなかった。 いつだったか、こんなこともあった。身支度を整えてから、にゃあ実ちゃんをバッグに入れようと探しても、どこにも見当たらない。おかしいなと思って念のためバッグを覗くと、既に入って待っていた。 慣れてくると、電車の旅は結構楽しいものらしい。ただ、盆暮れなど家族連れでにぎわう時に電車を待つ間、子供が珍しがってバッグの中を覗いて「猫だ!」と声をあげると、上目遣いに不安げな様子を見せていた。 実家では、最初の頃こそ猫をかぶっていたにゃあ実ちゃんだが、そのうち、障子や柱をガリガリやり出した。爪とぎを用意しても無駄だった。お出入り禁止になるかと怯えたが(もちろん怯えたのは私で、当のにゃあ実ちゃんは気にもせずあちこちガリガリやっていたのだが)、築35年の家なので、大目に見てもらっていた。 変わったことといえば、初めの頃は荷札のようなにゃあ実ちゃんの切符が、いつからかスーパーのレシートのようなものになった。機械に打ち込むと、日付や行く先が印字されて出てくる。初めて荷札のような切符を手にした時は荷物扱いかと思ったものだが、こうしてただの白い紙になってしまうと、前の切符の方が旅の情緒が感じられたような気がする。しかし、これも時代の流れで、しょうがない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.02.02 13:42:19
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