ごめんね、にゃあ君       

2009/02/02(月)14:57

続 ごめんね、にゃあ君17

続 ごめんね、にゃあ君(42)

   第17話  にゃあ実ちゃんは猫のおもちゃが大好きだ。タコ糸の先にねずみもどきがついたおもちゃは喜んでくれた。後ろ足で立ち上がってねずみを捕ろうとしたり、元気にジャンプしたりした。  にゃあ実ちゃんは外に出て走り回ることがない。運動不足になってはいけないので、時折一緒に走ることがある。我が家は集合住宅の1階なので、ドタバタ走っても階下に迷惑をかける心配がない。玄関からリビングに続く廊下の長さは5メートル、リビングを回ると5メートル、1往復15メートル程の距離になる。室内ジョギングだ。私が走り始めると、にゃあ実ちゃんも走る。にゃあ実ちゃんは後から走ってきて廊下の中程で追い抜いていく。そして折り返し地点で待っている。それを何回も繰り返す。追い抜くのが楽しいのか、私より先にスタートすることは滅多にない。  にゃあ実ちゃんは小さな体だが、走ると勢いがある。床はフローリングで爪が引っ掛からないので、リビングでUターンする時、たまに滑っている。子猫のうちに我が家に来たため、気配を消すことを学んでいないのか、ドタドタ音を立てて走る。そこがにゃあ君と違うところだ。にゃあ君は体は大きかったが、上手に肉球を使って、気が付いたらそばに居たということがよくあった。にゃあ実ちゃんはヒタヒタ、スタスタ、ドタバタと音を立てて移動するので、どこを歩いているのかすぐわかる。  にゃあ実ちゃんは時折、こちらが笑ってしまうようなことをする。いつものように一緒に室内ジョギングしている時だった。廊下の中程でにゃあ実ちゃんが私を追い抜くその瞬間、何かが私のふくらはぎに触れた。尻尾が触れたのではなく、もう少しはっきりした感触だった。その時は1回きりだったので、何が起きたのかはっきりとはわからなかった。  次に走った時、やはり同じことがあった。今度は前よりもっと確かな感触だった。にゃあ実ちゃんが追い抜きざま、2本の前足を揃えて私のふくらはぎに軽くタッチしているのだ。人間が両手でハイタッチをするようなタッチのし方だった。なぜそうするのかはわからない。 「お先に~」 とでもいっているのだろうか。そのタッチは今も続いている。

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