にゃあ実ちゃんとご近所猫19
ご近所猫2号 夕方になり、ヒンヤリした風が吹き始めた。それにしてもヒトのうちでよく眠る猫だ。帰宅する前からずっと眠っていたのに、まだ起きない。いつまで寝続けるつもりだろう。 ガラスに張り付いて監視していたにゃあ実ちゃんも、こう長くは付き合いきれないと思ったのか、自分の椅子で丸くなっている。 次に覗いた時には猫はテラスでペロペロ身繕いをしていた。この距離から全身を眺めるのは初めてだ。帽子を被ったような黒い頭、うなじの黒点、背中から尻尾にかけては黒々しているが、脇からおなかは真っ白だ。尻尾は長くてしなやかで、美しい曲線を描いている。夜中に入り込んで悪戯していた猫はもっと白っぽく見えたけれど、この猫だったのだろうか。暗闇では前から見ると白く見えないこともない。駐車場の父猫がここまで出張して来ていたのか。 そのうち室内からの視線に気付いた猫がこちらを見上げた。顎の尖った角張った顔だが、表情はのほほんとしている。 すぐに名前を考えた。帽子をかぶった団栗のような頭をしているので「どんぐり」と名付けた。 こうして「どんぐり」(通称「どんちゃん」)は、ご近所猫2号となった。