【名前のない色】榎田尤利
著)榎田尤利さん イラスト)宮本佳野さん【内容情報】(「BOOK」データベースより)「夏場のミサ先生はだめ」「なにしろ問題のあるヤツだから」ここ5年、白黒のイラスト以外を描かない水窪あきらには、作品の好評さとは裏腹に、いい噂がない。それでも、以前から彼の画風に心惹かれていた、編集者の藤野渉は挿絵を依頼するが…。仕事はいい加減。人肌恋しければ、知り合ったばかりの男とでも気軽に寝るような自堕落ぶり。しかしそんな水窪を、藤野は放っておくことができなかった。誘われるままに身体を重ね、尚更彼の絵を諦めきれずに―。【感想】水窪(みさくぼ)先生は、夏場は自虐的と言うか壊滅的というか、生きていく気力も体力も無くなってしまう姿が見ていて痛々しいのですが、本人はそうすることでバランスを取っているんでしょうね・・・藤野がモノクロのイラストに惹かれた理由は、藤野の持っているあの性もあるのかと思うと不思議な縁を感じます。面倒見が良い藤野に甘える水窪。水窪が少しずつ変わって逝く様子が、読者側からは原因が分かるのですが出ている登場人物には分かっていない、それがもどかしい~!名前のない色の意味も、その色で溢れているような小説も素敵でした。