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柊リンゴ

柊リンゴ

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2016/06/30
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腰が熱いのは僕のキスが下手なせいか。
中腰で、しかも颯秩の髪が触れるのを感じながら彼の舌にいいようにされている。

僕の舌は怯えている。

触られたいけれど、絡みたいけれど、怖いのだ。

「!」
不意に颯秩が僕から離れた。
面食らったように僕は彼の頬から手を下した。
「どうしたいの?」
颯秩の問いかけに「よく、わからない。だけど」
「どうして、俺?」
再び問う声に苦痛を強いたのかと慌てて表情を伺った。
嫌そうな顔をしていたらどうしよう、
そう思ったのだが颯秩は感情を乱された様子が無く、
素の顔で、本当に質問を投げかけているだけだった。

「ごめん、僕、自分で何をしているんだかよくわからなくなって」

パニックに陥りそうだ。

「キスがしたかったんでしょ。それはわかってる。
ただ、俺でいいのかなと思っただけ」

「はあ?」
あ、そうだ。
颯秩はそう聞いてきたのだった。

落ち着け、落ち着くんだ。
すう・と息を吸い込み平静を保ったふりをして椅子に腰かけると、箸を持った。
だが食欲は無い。
下半身からなにやら疼くものを感じている。
訴えているのは胃袋ではない、僕自身だ。

欲しいものを僕は見つけてしまった。
それは目の前にいる。

教室内は相変わらず騒がしく、さっさと静まればいいのにと願うばかりだ。

「あいつ、翌檜にキスしたぞ……?」
「できてんの?」
「まさか! 相手はひとりが大好きな立葵。翌檜をからかっているのか?」

「からかわれてしまうような奴じゃないだろ。翌檜は」
「そうだけどさ」


「壬、さあ」
颯秩の声は落ち着いている。
「俺のこと、好きでしょ」
「は」
じっと僕の目を見つめるその瞳に僕は弱い。
いつまでも見つめ返したくなるその透明度に穏やかな声。
羨ましくなる容姿を持ちながら、それを鼻にかけない。
そして僕の心を読んでいるような問いかけの数々。

僕が知っている颯秩はこのくらいだ、
まだまだ知ることができるのか。

「認めたら楽になるよ」

「そ、そういうものか?」

「少なくとも今みたいに苦しい思いはしなくて済むんじゃない。
俺は構わないよ。昨日までと違って、少し、壬に興味を持っているんだ」
「僕に?」
そんなことを言われたのは生まれて初めてじゃないか?

「俺、人間観察が好きで。
ひとりでいるのが好きなのかあえてひとりでいるのか不思議な壬を見てた。
で、結論。
壬は、変わりたいんでしょ。
自分を殺して人に合わせるのではなく個性を出したいんでしょ。
そういうの、面白い」

なんと返事をすべきなんだろう。

「颯秩のことは気になる。実は夢に見たほどだから。好き、なんだと思う」


「よく言った。甘めの顔して男らしいじゃん。
俺でよければ付き合うよ。
何がしたい? 叶えるよ」

何だろう。
もっと触れたいしその唇の動きや質感、柔らかさをもう一度確かめたい。
耳たぶにかかる髪にも触りたい。
胸筋はどうだろう、細身だけど絞っている気がする。
ああ、脚は。
指先は?

しかしこんな事を初めから言えるほど恥知らずでは無い。

まずは颯秩の好みを知るのだ。
彼が僕に少なからず興味を持って見ていたように、僕も見てみたい。

「……したいのは人間観察」

「そう来たか。まあ、いいかな」














●早起きして何をやっているんだという●


書きたいですね、いろいろと。




先日新調したレインブーツを履いて出かけまして、その日の朝は曇りだったので道行く人はパンプスとか。
レインブーツは自分だけでした。

しかしお昼過ぎから豪雨になりましてレインブーツ大正解。

しかもこのこ、優秀で。
踵の高いシークレットインソールに軽めのボディ。

うん。
雨の日でも憂鬱にならずに済みます。

一応貼ります。







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Last updated  2016/07/01 04:01:25 AM
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