「ふるさとをください」
前に新聞で読んで、観たいと思っていた映画「ふるさとをください」を観てきました。自主上映作品などの独自の映画を上映しているポレポレ東中野で。実はこの日金曜日が最終回でした。でも仕事は立て込んでいるし、夫も珍しく出張ではないし、無理かなぁ … と朝から半分あきらめていたところ …仕事が5時前に片付き、夫も息子たちも夕飯はいらないとのこと。やった~! 6時半からの最終回に行かれる!東中野の駅は上下とも階段で、ポレポレも地下階段があったのですが、なんとかひとりで行ってくることができました。精神障害者が、地域で自立して生活をする問題を描いた映画。最終日の最終回だったので、冨永憲治監督の舞台挨拶もありました。和歌山県のある町に、福祉作業所ができ精神病院を退院してきた者たちが生活を始めたけれど、理解のない偏見だらけの地域住民の猛烈な反対を受けるというストーリー。主演ともいえるベンガルの迫力ある演技が、圧巻でした。反対の理由をここまではっきり描くか、と思った脚本は、こういう映画には珍しいジェームス三木。反対同盟の代表であるベンガルが、「ここは私たちのふるさとです。そのふるさとを奪う権利は誰にもないはずだ」と言ったのに対し、園長である藤田弓子が「ここの人たちには帰るふるさとがないのです。ふるさとをください」と訴えるシーンが印象的でした。日本人の場合、知らないことで偏見を持たれてしまうことが多いと思う。知れば考えも変わるし、捉え方も変わる。でもその「知る」ことが、なかなかむずかしいよね。「知る」きっかけがあれば、入っていけるのにって思います。そして、とても心があたたかくなったことがひとつ。チケットを買おうとカウンターに近づいたところ、前の回を観て出てきた男性が「これ使ってください」とチケットをくださったのです。最終回なんだから当たり前と言われればそれまでだけど、1200円のチケットでしたが、それ以上のあたたかさをもらいました