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意外な戦史を語る~  カモメとウツボのメクルメク戦史対談

意外な戦史を語る~ カモメとウツボのメクルメク戦史対談

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2009.01.23
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カテゴリ:ルンガ沖夜戦
(カモメ)この酸素魚雷が命中したアメリカ海軍の重巡洋艦の「ミネアポリス」は、10000トンですが、その艦首から一番砲塔の根元までがポッキリ折れて、飛び散りました。また、機関室も壊滅しました。ガクンと速力が落ち、ゆっくりと左に4度傾いたのです。

(ウツボ)重巡でも壊滅的な損害を受ける。日本の酸素魚雷の威力は大きい。続く二番艦の「ニューオリンズ」(10000トン)は衝突を避け、狼狽して、右に一杯舵を切ったんだ。その直後に左艦首部に魚雷が命中した。艦首がきれいに吹き飛び、弾薬庫が爆発した。大混乱がアメリカ艦隊の隊列に起こった。

(カモメ)それは、アメリカ艦隊は迫り来る魚雷を避け、同時に味方の艦との衝突も避けねばならなかったのですね。だから大混乱に陥り、四番艦の軽巡「ホノルル」や残りの駆逐艦は狂ったように舵を切り逃げ回ったといわれています。

(ウツボ)それでも三番艦の「ペンサコラ」(9100トン)は、被雷した2隻をやり過ごして舵を左に切り、前進しながらレーダー射撃を続行した。だが、それにもかかわらず第三砲塔前部の燃料庫左舷に魚雷が命中した。アメリカの誇る重巡洋艦は瞬時に鉄くずの山となった。発生した火災は4時間も炎上し続けた。

(カモメ)後衛の駆逐艦「ラムソン」と「ラードトン」は、逃げ回り、戦場を離脱しました。その理由は、損傷した味方の重巡洋艦から敵と間違われ、猛烈な砲撃を受けたからです。

(ウツボ)全てが混乱に陥っていた。確かに、味方から砲撃されたら逃げるしかないね。一方、その頃、アメリカ艦隊の前衛に位置していた駆逐艦4隻は攻撃後、そのまま突っ走り、サボ島をぐるりと回ろうとしていたんだね。つまり、アメリカ艦隊は一瞬にしてバラバラになり、艦隊としてのシステムは崩壊していた。

(カモメ)主力艦隊の後部にいた無傷の重巡「ノーザンプトン」は、それでも、引き続き攻撃をかけようと、サボ島近くまで砲撃しながら軽巡「ホノルル」を伴い前進していたのです。ですが、結局目標を見失い、進路280度で航行していました。

(ウツボ)だが、日本艦隊は見逃さなかった。やがて「ノーザンプトン」に速度50ノット、炸薬量500キロという海中のミサイル、日本の酸素魚雷が命中した。それも二本命中した。上甲板は火の海になり、艦は徐々に左に傾き、やがて転覆し沈没した。

(カモメ)酸素魚雷の、その威力のすごさですね。2本の魚雷で重巡が海の藻屑となりました。それに、注目すべきは、その的確な命中率ですね。重巡を狙った日本海軍の第二水雷戦隊の魚雷は、ほぼ予測通りに命中したのですから。

(ウツボ)この海戦で、日本の駆逐艦乗組員は日頃の訓練通りに魚雷発射を行ったそうだ。その熟練した技術と日本の誇る酸素魚雷の性能と威力により、アメリカ艦隊の重巡洋艦3隻が大破し、1隻が撃沈された。主要艦はすべて壊滅した。

(カモメ)一方、日本艦隊の損害ですけど、「高波」はなんと50発の命中弾を受け、大破しました。だけど不思議に火災は起きていなかったのですね。それに旗艦の「長波」が軽微な損傷を受けました。

(ウツボ)駆逐艦が50発受けたら大抵沈没するよ。火災も起きなかったとは「高波」は運が良かった。「ルンガ沖夜戦」(PHP文庫)には、生還した「高波」の航海長・江田高市予備中尉の手記が掲載されている。それによると「高波」は、沈没しなかったとはいえ、想像以上の悲惨な状況だった。

(カモメ)そうですね。江田中尉の手記によると、「高波」の艦橋はメチャメチャに破壊され、肩の周りからちぎれた小倉正身艦長の右腕が残っていました。周りには爆風と断片でバラバラにされた死者の肉と骨と血が絨毯のように広がっており、そこには、虚無感ただよう静寂があったそうです。

(ウツボ)その時、艦橋で生き残っていたのは、第三十一駆逐隊司令・清水利夫大佐(海兵46)、右足先が吹き飛んで羅針盤に身体をしばりつけている水雷長・押兼大尉、なんとかして立ち上がろうとしている池田兵曹、眼鏡にとりついて味方艦を捜し求めている藤野兵曹、そして航海長・江田中尉の5人のみだった。

(カモメ)あとは、艦橋は血まみれの死者、ひん曲がった鉄骨と弾痕と血の堆積、それに静寂。まさに非情の海であったと記されています。

(ウツボ)江田中尉は戦時治療所となっている士官室に降りて驚愕した。ろうそくの火がゆれる通路にも室内にも、約六十名の重傷者が、足の踏み場もないほど寝かせてあって、血のにおいが充満していた。

(カモメ)軍医長の城戸少尉が、中央のろうそくを明るくした場所で包帯を巻いていましたが、江田中尉が入っていくと「航海長、私が忙しいと、やっぱりいけんでしょう」と手を動かしながら言いました。

(ウツボ)右舷の航海長私室の前の通路には、小倉艦長が寝かせてあった。福村二等衛生兵曹が服を切って傷口を調べていた。右胸部が弾片でえぐられている。右腕はない。

(カモメ)「艦長」と江田中尉が呼ぶと、「ウム」と答えるが意識はすでにない。「味方は勝ったのですよ」と耳に口を寄せて言うと、また、「ウム」と答えるが、もう駄目なことは明らかでした。







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最終更新日  2015.08.16 11:52:39


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