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昨日(7月31日)朝7時35分頃、JR岩泉線の岩泉行き1両編成の普通列車が、岩手大川駅の前で土砂崩れに乗り上げて、運転席窓ガラスが割れ、前側2対が車輪が脱線。乗客3人と運転士がけが。
大惨事でなくて良かった。事故の原因調査や安全体制点検はお願いするとして、気になったのは乗客が7人で、しかもすべて観光客と報道されていることだ。 河北新報では、乗客7人が全員県外からの観光客とした上で、 横浜市の男性(49) 名張市の男性(63) 長野県の男性(48) の3人が負傷。また、神奈川県の男性(29)のコメントを掲載。ほかの人物を他紙で探すと、読売に、つくば市の大学生(20)が登場している。同紙は、全員が「秘境路線」の乗車や観光名所の龍泉洞などを目的にしていた、と報道。朝日では、負傷した長野県の男性が、全国で駅の写真を撮影している方だと紹介。 秘境路線、秘境駅などと呼ばれて人気のようだ。山あいを縫って走る超ローカル線の旅は、強い魅力を放つものだ。今回の事故現場も、携帯が通じず、運転士が沿線電話で事故を報告したという(読売)。 小学校の頃、小本線と呼んだのを岩泉線と改称したのだと教わった。元来は太平洋岸の小本まで延ばす計画で、小本線と呼ばれていた。浮ついた昭和や平成の都市型のくらしとは一線を画して、自然と向き合い、自分に正直に、他人を思いやり、普通に自然に過ごしていく地。忘れかけていた大切なものが、岩手県北にはあるのではないか、子供の頃から漠然とそう信じてきた。舗装路も信号機もない。山あいで炭焼きの煙が立ち上り、小川を飛び越え吊り橋を渡って学校に行く、そんなイメージが頭の中にあった。 今回の旅行客7名の皆さんがたは、住所や年代からしても、おそらく皆さんが単独行動なのだろう。そして、県北部の名勝を歩き回るのなら車が便利だから、敢えて鉄道を選んだ旅だと思う。この日のうちに岩泉線を往復し、山田線で盛岡か三陸に移動するという計画で、土曜の早朝のこの時間帯に、おそらくカメラを手にして車窓の景色を堪能する乗車だったのだろう。 誤算で生まれた盲腸線だが、県北部に食い入るように、38キロの路線が延びているのは、平成を生きる私たちの宝なのではないか。わが心の理想郷に立ち戻るゲートウエイだ。事故の報道で思いを強くするのはおかしなことではあるけれども、私としては自然だ。是非、岩泉線に、乗りたい。 ■関連する過去の記事(岩泉町など) 龍泉洞 41年ぶりの潜水調査(2009年12月10日) 神秘の地下洞窟 地質百選の龍泉洞(2009年3月28日) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.08.01 11:12:11
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