カテゴリ:東北
東北地方では、古代末から中世末にかけての土塁や空堀などの防禦施設を持つ城館群は、一般に古くからタテ(館)と呼ばれ、それに基づく、大館、古館、館山、館前などの地名が各地に数多く残っている。
こうした館跡は、宮城県内だけで約1000箇所もある。県内の旧石器時代から中世末までの遺跡の合計が約4300箇所であるから、館跡がいかに数多く存在するかわかるであろう。これらは中世の武士たちがその成長過程で、地域的歴史的な諸条件に対応しながら築造し使用したものだけに、規模、形態、立地などでさまざまなものを含むが、すべて居住的、政治的、軍事的という多くの機能を兼ね備えており、地域史研究の上で欠くことができない。 県内で調査された主な館跡は、仙台市の岩切城、大和町の八谷(はちや)館、御所(ごしょ)館、大衡村の駒場小屋館である。いずれも室町時代に属し、山城的な性格を持ち、多数の郭(平場)や土塁、空堀などをそなえている。近世の城郭のように壮大な石垣をもつものはない。 館跡で発見される遺跡、遺物の研究は、技術史、商業流通史、生活史などの各方面に寄与することが大きい。文献資料の少ない東北地方の中世史を研究するためにも、県内各地に残る館跡は重要な資料といえよう。 ■佐々久編『郷土史事典 宮城県』昌平社、1977年 から お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.10.01 19:03:52
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