カテゴリ:教育
仙台第二高校の進路資料で大学入試合格状況を見てみた。
まずは、データを。
以前から仙台市内の県立上位進学校は、浪人率が非常に高い。私は率直に学校側の意識にあると見ていた。すなわち、教員の意識や同窓生の醸成してきた伝統的な学校生活・進路に対する態度文化、である。入学する生徒が山形や秋田に比較して全体として見た場合に、学力や意欲で劣っていると言うはずはなく、しかしながら例えば秋田高校や山形東高校の現役進路達成状況(つまり浪人比率)とは大きな開きがあった。仙台の閉鎖性や非開明性を象徴するようなナンバースクールの文化も、共学化を契機に変わって欲しいと願っている一人だ。 その観点から、上のデータをどう考えるか。 合格状況であって現実の進路状況とは異なる点があるだろう(特に私立)が、まず国立合格者の現役比率は、53.6% → 58.3% → 62.8% と上がっている。これを有意と見るかどうか見解は分かれるかも知れないが、過卒合格者実数(a-b)が 108 → 92 → 81 と下がっていることからも、浪人にまわる全体数は一応着実に下がっていると言えそうだ。 これを東北大学で見ると、半分が浪人だったのが7割になり、浪人に回って合格した数も、57 → 41 → 31 と減っている。やはり共学化の進展と無関係ではあるまい。 山形東高を比較例として挙げる。
もちろん個々の生徒が主体的意欲を持って卒業後に希望を叶えるべく受験準備をすることを悪いというつもりは全くない。人生をどう考えるか自由だ。例えば医学科に浪人で入学する人が多数いる現状からしても、主体的浪人生が一定程度あることは直視すべきことだ。 しかし、当ジャーナルが以前から主張しているのは、修学年限で希望を達成しようとする生徒を支援する力が弱い「進学トップ校」では困るということだ。宮城の進学校に入った若者だけが「浪人希望率」が高いわけではないだろうに、ハッキリと浪人の結果が多いのは、現役進路達成を重視しない(むしろ浪人を是とするかの如き)風潮があったからに他ならない。それに甘んじてきたことが問題なのだ。 宮城県では共学化や学区撤廃の効果を客観的に検証するのだという。ぜひ、当ジャーナルの拙見もご参照いただきたい。 ■関連する過去の記事 今春の各高校の大学合格実績 概略(2012年5月29日) 宮城県の高校の進学実績を考える(2010年11月20日) 宮城の県立高校の「現役」進路実現力を考える(09年8月25日) 宮城県の県立高校の進路実現力を考える(09年8月21日) 共学化の方針を堅持(09年2月5日) 県立高校共学化論議を考える(08年12月18日) 梅原市長の高校男女別学の主張を考える(08年11月13日) 高校の進学状況 福島県のデータ(08年8月3日) 宮城県の伝統校の進学力を考える 青森県との比較(08年8月1日) 改めて宮城県の伝統校の進学実績を考える(08年7月31日) 公立高校の学区撤廃を考える(08年7月30日)(宮城県の方針) 宮城県立高校の男女共学化を考える(4)真に学校を思うなら(05年12月11日) 宮城県立高校の男女共学化を考える(3)妙案登場!?(05年12月7日) 仙台市梅原市長の「仙台一高・仙台二高別学維持」発言に思う(05年11月30日) 宮城県内の公立高校の男女共学化論議を考える(2)歴史(05年11月28日) 宮城県立高校の男女共学化を考える(1)序論(05年10月28日) 宮城の進学率と公立高校を考える(05年9月6日) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.09.08 13:57:00
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