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カテゴリ:答唱詩編
125 主よあなたは永遠のことば
【解説】 この詩編119は全詩編中、もっとも長く、176節からなり、さらに、8節をひとまとまりとし、詩の冒頭がアルファベット順になっています(アルファベットの詩編)。ここでは「律法(トーラー)」が、「教え、仰せ、定め、聡、さばき、おきて、すすめ、ことば」という八つの同義語で語られています。キリストが来られたのは、律法や預言者(旧約聖書)を廃止=誤った解釈で無効にするためではなく、聖書を、神が本来望んでおられる正しい解釈をすることで、神のことば、教えをすべての人のために確立することにありました(マタ5:17)。 この詩編119は他に、56「神のみ旨を行うことは」、75/76「神よあなたのことばは」でも歌われますが、176節すべてが唱えられるわけではありません。ぜひ、一度、通して読んで見てください。 答唱句は、非常に複雑な和音で進んでゆきます。冒頭は、2♭の長音階、B-Durの主和音で始まりますが、これは、最初のアルシスだけです。最後は、バスからC-G-Es-Cの和音で終わることから、教会旋法の第一千歩に近いと言えるでしょう。前半はバスが音階進行で動き、とりわけ「永遠の」では、バスとアルトで臨時記号が使われ、こころを「永遠」に向けさせます。後半では、バスが第三小節でG第四小節でCを持続し、この信仰告白の体言止のことばを力強く終わらせます。 詩編唱は、ドミナント(属音)のGを中心にして動きます。 【祈りの注意】 ここでは、特に、金や銀といったこの世の宝より、神のことばこそ「わたしの宝」と述べられます。『聖書』という、神のことばの宝箱を、いつも大切にこころに刻めるように、この詩編を伝えてください。第三小節では、音も詩編唱の最高音ですが、今日、歌われるすべての節に「すばらしい」ということばがあります。無理にがんばることはやりすぎですが、自然と、「神のことばはすばらしい」という信仰告白が伝わると、すばらしい祈りとなるのではないでしょうか。 なお、二節の第一小節と第二小節にまたがることばは、「教会の祈り」(第三水曜日「昼の祈り」)では、「とこしえにわたしの宝、」で改行されていますので、小節の区切りも合わせるか検討の余地はありそうです。 答唱句のことばは、「ガリラヤの危機」の後のペトロの信仰告白のことば(ヨハ6:68)です。最初の「主よ」の後の八分休符は、次の「あ」のアルシスを生かすものです。「よ」が惰性で伸びないようにし、オルガンの伴奏が一足早く変わるのを味わえると、「あ」のアルシスがより生きると思います。「あなたは~」のところを、メトロノームで、はかったように歌うと、ことばを棒読みしているように聞こえます。四声の場合は、アルとは特にレガートをこころがけましょう。一連の八分音符を、やや早めの気持ちで歌うと、「あなたこそ」という確信に迫る祈りになるのではないでしょうか。「ことば」の部分、特に、アルトの動きは、最後のrit.を促すものです。オルガン伴奏だけのときも、この音の動きをよく味わい、オルガニストは、祈りを込めて弾きたいものです。この答唱句を歌うとき、ペトロと同じように、キリストに従う決意を新たにしたいものです。 【参考文献】 『詩編』(フランシスコ会聖書研究所訳注 サンパウロ 1968) 石黒則年『詩篇』(新聖書講解シリーズ 旧約12 いのちのことば社 1988) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.07.26 09:08:31
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