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カテゴリ:おれの持っている本
あぶ・らぶ / 高橋鐵
今日から読み始めた。1/3くらい読んだ。前の日本の神話 / 高橋鐵は絶版みたいだけど、こっちはまだ売っている。かなりおすすめの本だ。 この人は『セクソロジー』『性科学』の人らしいのだ。引用はキンゼイや犯罪学からのものが多く、『エロチシズム』とは違うみたいなのだ。 フロイトの研究者であると同時に、性の相談、具体的には同性愛や異常性欲の相談を受ける仕事をしていたようだ。 澁澤龍彦の著作に『エロチシズム』『エロスの解剖』『少女コレクション序説』などのエロティシズムを解説した本がある。それと似たような本なのかと思っていたら、まったく違う本だった。扱っていることは同じだし、その分析もほぼ同じなのだが、澁澤龍彦が自己主張することに重点を置いているとするなら高橋鐵は理解してもらおうという目的に重点が置かれている。 著者の立場や価値観がまったく違うのだ。澁澤龍彦と高橋鐵はだいたい同時代だし、お互いにその存在を知らないはずはないというのにどちらにも引用されていないのだ(これからでてくるかもしれないが)。だいたい、文学系の本に『高橋鐵』の名前を見たことがなかった。でも、影響力はかなりあったはずなのだ。 芸術と学問の壁かな。それとも哲学と科学なのかもしれない。書斎派と社会派、芸術家と学者。澁澤龍彦は善悪については興味がないことは明らかで、美醜かな。ちょっとちがうな。それより自分が好きか嫌いか、興味があるかないか、が価値の基準で自分の好きなことの薀蓄話をしているような感じだな。研究もしているが、はじめから自分の好みにバイアスがかかっていて、客観性なんてものは眼中になかったとおれは思う。 高橋鐵の本はほとんど絶版になってしまっているようだ。今は学問的にはほとんど評価されていないということなのだろう。おれは世間の評価なんてものは気にしないたちなので自分がいいと思ったものは人に勧める。このあぶ・らぶ / 高橋鐵はおもしろいと思う。 分析にフロイトを使っているから今は『科学的』ではないのかもしれないが、実際に相談した事例や標本調査のデータを使って性倒錯を解説している点は科学的なのだ。そのデータ処理の方法が現在信用されていないというだけなのだ。性の正しい知識を啓蒙する活動をしていたという点も評価されるべきだ。 この本のあとに澁澤龍彦の『エロチシズム』『エロスの解剖』『少女コレクション序説』を読んでみたくなった。そのあとにバタイユの『エロチシズム』を読んで、復習は完了するな。そのあとに関連のありそうなレヴィ・ストロースとミシェル・フーコーを読んでみるか。 この「あぶ・らぶ」で性倒錯(アブ・ノーマル)やその一種と考えられる快楽的な殺人(今もそう考えられているのかはおれはしらないが)については一通りふれられている。実話がメインなのと1940年代あたりから60年代までの話なので今との比較ができるのがおもしろいところだと思う。 今の子供は小学生でもセックスのことを知ってるだろうし、その映像をみることもできる環境にある。大人とバーチャル世界で議論することもできる。こういう子供が大人になったらどうなるのだろう?すでにおれの小学生のころの常識は通用しなくなっている。よくなるとか悪くなるとかの価値観は抜きにして、この壮大な実験がどうなるのか楽しみではあるな。 本・読書ランキングです↓押してくれ! こっちはアクセス解析です。 おれの買い物--本のリンク 書く予定 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007/05/26 02:35:17 AM
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