ダーウィンの危険な思想/ダニエル・C・デネット
ダーウィンの危険な思想/ダニエル・C・デネットこのブログは本読書ランキングに登録してある。それから、本の紹介はほとんど影響力がないとわかっていても、たった一人でもおれの紹介した本を読んでくれる人がいれば、おれは満足だ。おれの紹介する本は、どちらかというとマイナーで巨大な書店に行かないと売っていないものがほとんどだ。しかし、本の価値は売れているかどうかで決まるものではないと思う。おれの紹介している本は、そのほとんどが出版から10年以上経過していて、そのあいだに、ささやかながら増版を重ね、これから少なくとも10年は出版され続ける本だ。多くの思想家に影響を与え、その主張に検討が加えられている本ばかりのはずだ。このダーウィンの危険な思想/ダニエル・C・デネットは今までに紹介したどの本よりもおれにとって意義のある本になりそうだ。最初にこの本を読めばよかったと思ってしまったのだが、今のおれだからその重要性に気がつくのだといったほうがおそらくは正しいだろう。二年前のおれではピンと来なかったかもしれない。すごい本だとは思いつつも、真の価値には気がつかなかったかもしれない。その主張や検討されている説のことを知っているからこそ、ぞくぞくするほど感動するのだと思う。この本ほどにダーウィン説の真の意味を明確にした本は今までに読んでいない。そういう意味でこの本は最も優れた『進化論』『ダーウィン説』の入門書なのかもしれない。おれはそう感じるのだが、『ダーウィン説』について知識が少ない人には難しいのかもしれないとも感じる。知の挑戦/エドワード・O・ウィルソンでは文理の統合という目標が掲げられていた。デネットはすでにそういうことはダーウィン説でできると考えているようだ。こういう統合を実際にやろうとするのはダーウィン主義者だからだと思うのだ。それほどまでに自然選択のアルゴリズムは万能の思考方法なのだと思う。この本でおれはレベルが確実に上がると期待している。次に読むのはメタマジック・ゲームホフスタッターにしようと思っている。ホフスタッターは前に読んだときにはよくわからなかったのだが、今がベストのタイミングだと感じる。この本は700ページ以上の分厚い本で、しかも二段組になっているので文字の数も多く、しかも理解して、そして、ひらめく本なので余計に読む時間がかかる。だから、何回もここで登場することになると思う。だから、今回は紹介のみにしておく。レヴューを貼っておく。************************************************************内容(「BOOK」データベースより)ダーウィンが本来的に目ざしていたものは何だったのか?従来の進化論解釈を超えて、ダーウィン思想の根幹にある「アルゴリズムのプロセス」「デザイン形成の論理」を検証・展開させ、21世紀のきたるべき生命論を示し、宇宙論そして倫理観までを導きだす。AI研究、ミーム説以降の成果をふまえ、異才デネットが到達した包括的理論の全貌。 内容(「MARC」データベースより)「自然淘汰」を原理とする「進化」のプロセスは、それ自体精神も目的も欠いた、純粋に機械的な「アルゴリズムのプロセス」によって遂行される。ダーウィニズムの徹底した拡大と全自然の一元的解釈の試み。 ****************************************************************カスタマーレビュー ※ カスタマーレビューは他のお客様により書かれたものです。ご購入の際はお客様ご自身の最終判断でご利用ください。 おすすめ度: あなたのレビューがサイトに載ります。 22 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 進化論を知るための必読書!, 2006/01/17 レビュアー: seed-inspire (地球) - レビューをすべて見る 進化論を最新の自然科学の叡智を踏まえて、みごとに論理的に体系化した本です。 本書を読んでなお「神の存在」「人だけはインテリジェントデザイン」 と信じて疑わない人は、既にイデオロギーの虜になっているのだと思います。 本書から受け取った知恵の中で、気に入っているものの一つに次のものがあります。 ********************************************************** 第13章 ダーウィンに心を奪われて 1.知能における言語の役割 生成評価の塔 この「塔」は、階が新しく出来上がるたびに、 生体に、ますますよい手をより効果的に見つけられるような力を、 高さに応じて順にさずけていく。 ダーウィン型生物⇒スキナー型生物⇒ポパー型生物⇒グレゴリー型生物 ********************************************************** 人はこのような進化を遂げてきています。 これに基づけば、 行動科学はスキナー型生物に適用できる学問となります。 勿論、人もスキナー型を内包しているので行動科学の効果はゼロではありませんが、 グレゴリー型生物である人には行動科学も限界があることがわかります。 行動科学者、心理学者、社会学者は進化論を十分に理解した上で、 建設的な批判を行ってもらいたいと思います。 なお進化論については、以下の科学者が切れ味の良い知見を提供してくれます。 リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」など ニコラス・ハンフリー「獲得と喪失」など スティーブン・ピンカー「人間の本性を考える」など マット・リドレー「やわらかな遺伝子」など このレビューは参考になりましたか? (このレビューについて報告する) 14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 待望の邦訳, 2003/08/11 レビュアー: shorebird (横浜市青葉区) - レビューをすべて見る かねて名高い名著,待望の邦訳.進化をアルゴリズムとして記述,それ以上のものと考えたい人たちをスカイフックを求めるものだと切って捨てる.最後に普遍的価値としてデザインの希少性を提示している.進化ということの説明力について迫力の論考である.しかしとくにこの本の面白さはグールド,レオンティン,チョムスキー,ペンローズが何を考えているのかを明確化して完膚無きまで論破するところ.(ウィルソンについては少し誤解があるかも.)それぞれの論者の主張が大体頭に入っているとバカ受け間違い無しです. このレビューは参考になりましたか? (このレビューについて報告する) 哲学的見地からの新しいアプローチ, 2002/12/22 レビュアー: カスタマー 800pなのにわりとすいすい読めます。途中難解な箇所もありますが、進化論の最前線を哲学的に考察するとどうなるのかがよくわかると思います。進化・哲学・AIに興味のある方おすすめです。 このレビューは参考になりましたか? (このレビューについて報告する) 17 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 進化論の果てしない可能性, 2002/07/24 レビュアー: "pop-puh" - レビューをすべて見る 著者Daniel Dennettはタフツ大学の科学哲学者である。進化論を起点に幅広い研究をしている東京大学の佐倉統はこの著者を「哲学を『研究』するのではなく、哲学『する』数少ない哲学者」(佐倉統『生命をめぐる冒険』、河出書房新社、1998年、p.63)と評したが、まさにそのとおりである。はじめは認知科学の研究から出発し、「意識」の説明をユニークな形で試みていた。前著“Consciousness Explained”でも意識の説明に進化論の視点が重要な役割を果たしていたが、本書では進化論がメインとなり、生物学から倫理学まで幅広い分野に及ぼすその可能性を模索している。進化を「アルゴリズムのプロセス」と説明されたとき、私はコンピュータ・サイエンスやAI研究が進化論といかに結びつくかという問題がすんなりと理解できるようになった。進化論は19世紀の古い生物学の理論などではない。そのアイデアはuniversal acid(万能酸)であり、すべてを説明し尽くす。まさに目からうろこの一冊である。 ********************************************************************レビューで書いてる人もいるけど、ダーウィン説以外の進化論もおれはある程度知っているし、グールド、ドーキンス、ハンフリーなんかも読んでいる。ペンローズの量子脳の考えも本はまだ読んでいないがどういうものかは大体知っている。自然選択の『アルゴリズム』が集積回路のデザインで超一流の設計者のデザインを凌駕するという記事をだいぶ前に日経サイエンスで読んだことがある。そういう事実を知っているだけにデネットの『アルゴリズム』は余計に説得力を感じる。自然選択の『アルゴリズム』については説明すると思う。本・読書ランキングです↓押してくれ!こっちはアクセス解析です。