『バロウズ梅雨だく、裸のランチ』
3年越しくらいで、バロウズの『裸のランチ』を読んだ。何だよ、これ!さっぱり、わからん!梅雨で曇りな気分のところを、灰色の植物になったバロウズのジャンキー節が冴えわたり、灰色は光を帯びてきて微妙に曇り空にも味がでてくる。微塵切り、細切れ、シャッフル、シャッフル。ノンリニアに、コトバを混ぜて灰色麻薬チャーハンが出来上がる。「カットアップ」という手法を用いて、偶然の中で、像の千切れたまにまに、ジャンキーズ・ワールドを構築していたらしい。枯死寸前の針金のような血管が、植物の根のように文体を取り囲み、麻薬な樹液を運んでくれる。その本のハードカバーには、ナイフで突付いた跡と、茶色くなった血が滲んでいる。貸してくれた友人が、禁断症状のときにつけたか、禁断症状を演出するためにつけたか、どちらかのものだ。そういえば、その友人は、熱に浮かされたように、「かっとあっぷ、かっとあっぷ」と、熱に浮かされた鯉のように、口をあっぷあっぷさせ、自分の人生自体を、かっとあっぷさせていた。そんなバロウズの阿呆なところと、その友人の阿呆なところがだぶり、ブルーを通り越して、グレーな気分になってくる。ファーストフードへ駆け寄り、バニラシェーク二杯を一気飲みすると、雷鳴が轟きアスファルトを瞬間豪雨が撃ち叩き、外へ出ると太陽が、鉄筋コンクリート11階建てな火柱を射光してきて、オレンジジュースの味がした。