影丸@雑記帳

2015/08/07(金)19:01

スターリングラード史上最大の市街戦

戦争映画(82)

「スターリングラード 史上最大の市街戦」(2014)     STALINGRAD監督 フョードル・ボンダルチュク 製作 セルゲイ・メルクモフ   アントン・ズラトポルスキー   ディミトリー・ルドフスキー   アレクサンドル・ロドニャンスキー 脚本 イリヤ・ティルキン   セルゲイ・スネシュキン 撮影 マキシム・オサトチー 音楽 アンジェロ・バダラメンティ 出演 マリヤ・スモルニコヴァ、ヤニナ・ストゥディリナ    ピョートル・フョードロフ、トーマス・クレッチマン    セルゲイ・ボンダルチュク、ハイナー・ラウターバッハ      本編131分 総天然色 シネマスコープサイズ 第二次大戦でのスターリングラード攻防戦をテーマにした戦争映画です。  2014年ロシア映画で、日本未公開作。8月5日にソニーから発売されたブルーレイソフトを鑑賞しました。 かつてのソ連映画といえば、「誓いの休暇」「鬼戦車T34」や「戦争と平和」「ヨーロッパの解放」など芸術性、あるいは大物量を見せつけるような大作のイメージが強かったのですが、近年はハリウッド映画的な娯楽的描写もみられるようになりました。  500円DVDの「東部戦線1944」「限界戦線」「ソビエト侵攻」「対独爆撃部隊ナイトウィッチ」などを見ると、アクションとサスペンスが重視されていて、ロシア映画の変貌を感じます。 今作の「スターリングラード 史上最大の市街戦」(2014)は、市街戦がおこなわれている戦場で数人のソ連兵とドイツ兵たちを中心にして、彼らの行動を追っています。  VFX技術を駆使した戦闘シーンが多く、派手な戦争映画です。爆発シーンはウーファー周囲の床が震えるくらいで、最近の映画鑑賞では屈指の迫力。 1942年11月のスターリングラード市内。侵攻するドイツ軍と、ヴォルガ河を最終防衛戦としてスターリングラード市を死守するソ連赤軍の間で凄惨な死闘が繰り広げられている。  ヴォルガを渡河して市街に入り、ドイツ軍が守っている建物を攻撃して占領したソ連の斥候隊。彼らはその家でドイツ兵に殺されそうになっていたユダヤ人の少女を助けます。 若いソ連兵たちはカーチャと名乗るその18歳の少女を守り、建物を奪還しようと攻撃を仕掛けてくるドイツ軍と戦うことになる。 映画は数人のソ連兵と、敵であるドイツ軍の大尉を中心にして展開されます。このドイツの大尉は花も実もある軍人なのだが、地獄のようなロシア戦線へ来て人間が変わり「ケダモノ」になったと自分で言う。  ソ連人の女性を力ずくで愛人にして、しかし亡き妻の面影を彼女に見て、愛している。その愛する女性がソ連兵に狙撃されて殺された。それまでは戦争なんか糞食らえ、と厭戦的な気分だったのが、ソ連兵に対しての強い憎しみと怒りが爆発する。 地獄のような戦場で、建物や地点を取ったり取られたりの死闘がおこなわれ、ソ連兵たちは祖国防衛と殺された家族の恨みを晴らそうとして侵略者であるドイツ軍を撃退しようと懸命になっているが、ドイツ兵たちは遠い異国でのこんな戦争はもうイヤだと感じ始めている。  厭戦的気分とは逆に、敵に対する憎悪が戦闘を継続させ、終末点へと兵隊たちをあおり立てるように進ませる。 欧米の戦争映画ではアメリカやイギリス軍、あるいはフランスなどの地下抵抗組織が中心なのでどうしても英米の視点からになってしまうけれども、本作は現在のロシア映画の、自国からの視点で製作した第二次大戦の映画です。  アクション重視の戦争映画。日本ではこういうのは作れないだろうな、と思わせる作品。 東日本大震災の被災地で働くロシアの救援チームが瓦礫の下敷きになっているドイツ人女性を救助する場面から始まるのにはちょっと驚きました。映画はそのロシア救援チームの人が下敷きになっている女性を励まそうと語りかけつづける、母に聞いた話という回想形式になっています。

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