メキシカン・アメリカンな暮らし

日本ではカリスマ美容師、カリスマ主婦などの言葉が数年程前から頻繁に聞かれるようになったのだが、もしもカリスマ人生相談の専門家という言葉があるのなら、アメリカではDr.Phil（ドクター・フィル）の名が一番先に挙がるのではないかと思う。

このDr.Philはあくまでもマスコミにおける通称なのだが、本名はDr. Phillip McGraw（フィリップ・マクグロウ）である。
心理学における25年もの実績を持っているそうで、元々は開業医だったのだが、従来のセラピー法は自分には合わないと判断、のちに訴訟コンサルティング会社COURTROOM SCIENCES， INC.を共同経営し、法廷で勝つ為の戦略を指導してきた。（例えば、模擬裁判を行いながら、振る舞い方や仕草などの細かいことまで徹底的にアドバイスをするなど、、、。）

訴訟社会アメリカで勝つ為には、弁護士同様、訴訟コンサルタントもなくてはならない存在と言われる今日だが、訴訟コンサルタントは、大事件を巡る裁判または芸能人・著名人の裁判などでは特に重要とされているようだ。

1996年、人気トークショー司会＆女優、オプラ・ウィンフリーが狂牛病をテーマにショーを進行させたのだが、ショー中、『ハンバーガーも食べられやしない。』と発言をしたが為に、テキサス州の家畜業者らから『牛肉の売り上げが急降下したのはオプラの所為だ。』と訴えられたそうである。

そこで、オプラはCOURTROOM SCIENCES， INC.に訴訟コンサルタントを依頼、2000年にはDr.Philのコンサルトのお陰で見事勝訴した。
その訴訟事件がきっかけでDr.Philはオプラと知り合うことになり、テレビ界へ進出することにもなったというのが経緯であるが、オプラのトークショーに人生コンサルタントとして何度も出演し、高視聴率をあげるほどに人気を呼んだそうだ。
そして、現在は彼自身のトークショーを持つまでになったのである。

良く毒舌だとも言われるDr.Philだが、人を傷つけるようなことは決して言わず、ただ、はっきり明確にどの点が問題か、そしてどう対処していけるか指摘してくれるという誠実な対応が、視聴者からの人気の理由とも言われている。

人生における“戦略”を丁寧に体系的に教える術を知り得ているので、観ているだけで自分が置かれている状況を再確認するのにも大変役立つし、何と言っても、身近に起きる親しみ深い題材（例えば、肥満、配偶者の浮気、浪費癖、いじめなど）を取りあげ、誰にも分かりやすいように分析・説明するので、非常に興味深いのである。

先で“カリスマ人生相談の専門家”と述べたが、戦略（ストラテジー）を強く打ち出している点から考えれば、“カリスマ人生戦略の専門家”と呼ぶ方が相応しいのかもしれない。
人生にもある種の戦略が有効だということを考えたこともなかった私だが、Dr.Philから刺激を貰ううちに、色々な問題に対して冷静にストラテジーを立てるのも手なのかもしれないと思い始めているところだ。


＊参考HP：

・Dr.Philのオフィシャルサイト
http://www.drphil.com/