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鉄を水に溶かし植物プランクトンを吸収しやすく 畠山重篤著『牡蠣の森と生きる』
食生活ジャーナリストで知られた、岸朝子 きしあさこ。 「おいしゅうございます」というセリフでも、良く知られていたようだ。 大正12年、近代牡蠣養殖の父・宮城新昌の次女として東京に生まれる。 nhkETVの講座で「本来の旨さ」「本当のおいしさ」のキーワードも発した。 「寒暖差が生み出す『本来の旨さ』『本当のおいしさ』」で一話を用意した。 秋田の「岩牡蠣」、大分の「干潟牡蠣」にしても、生産者は一様に「旨さは『水』、そして独自の育て方」。 そのように主唱される。確かにそうなのだが、「水」のなかに占める「腐葉土」の役割。 それも見過ごすことができないのであろう。 畠山重篤著『牡蠣の森と生きる 「森は海の恋人」の30年』(中央公論新社 2019年)は、「腐植土の効用」を、以下のように示す。 腐植土の効用 植物プランクトンは、基本的には二酸化炭素、水、太陽の光で増えるが、その他にチッソ、リンなどの養分が必要である。特にチッソは、たんぱく質を作るのに欠かすことができない養分である。ところが、植物プランクトンは、先に鉄を体内に入れておかないと、チッソを取り込めない構造になっている。さらに鉄は、クロロフィルなどの光合成色素の生成に深く関わっているというのだ。 では、鉄はどこから、どのように供給されているのだろうか。沿岸域の鉄の供給源は森である。鉄が海に届くには水に溶けなければならない。ここで森の腐葉土が重要な役割を担っている。腐葉土はそれ自体植物にとって最良の肥料であるが、山の岩石や土に含まれている鉄を水に溶かし、植物プランクトンが吸収しやすい形に変える役目をしているというのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年02月22日 16時46分29秒
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