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2024.06
2024.05.19
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【自死する医師たち】
患者に奉仕する精神を求められる医師、もしくは自発的に幼少時代から患者に奉仕の精神をもって医師となったひとたちは、「患者奉仕の精神」をもって職務に従事する。彼らは、目の前の患者の主訴に即応し、臨床的な判断と患者個々人の環境に適合した判断とを求められる。内服可能かどうか、自己注射などの指示を理解できるかどうか、入院の適応は病状と経済的な問題と患者環境として可能かどうかなどだ。患者の求めは際限がない。
「錠剤が内服できない」「粉薬が内服できない」「規則的な内服を守れない」「自己注射の器具の使用法を理解できない」「経済的に入院できない」「自分が入院したらペットの面倒をみるひとがいない」「自分が入院したら子供の面倒をみるひとがいない」「現状は入院の適応は低いが、患者の人格からいずれは入院することになることが予測される」など、医学的な臨床判断以外の要素を考慮し検討する。
患者の訴えに耳を傾け、精神状態を予測しながら、アタマのなかでは病棟の空き状況や、紹介先の専門医療機関の検討をし始める。かつて頭脳労働と言われていたホワイトカラーは、今や小売店の店員のような感情労働となり下がった。
就労時間が終わっても、その日の就業内容を振り返り、検討し、次回へのアセスメントプランを組み立てる。非番であっても、医師としての振る舞いを求められているような気分のままで過ごす。街中などでの不測の事態に対応できるかを含めてだ。非番であっても医師としての振る舞いを気に掛けるという意味では、小児科医がL.O,FANZA,DLsite,薄い本などに近づかないようにすることも含まれるかもしれない。もしも、私が通販だから問題ないだろうと、ペドフィリアな分野の商品を購入したとして、それに気づいた家族の反応などは想像するだけで恐ろしい(33歳独身女騎士隊長をヘラヘラ読んでいることは許されるのだ)。


さらに、医師には「自己研鑽」「オンコール」などという不可視の拘束時間が当然のように課せられている。老医のいう「当たり前」と現在の当たり前は異なっているとしてもだ。
自己研鑽は、医療の進歩だけでなく、社会文明の進歩によっても、過重な要求となった。以前であれば、「寡聞にして知らなかった」ことが、ネット機器の進歩によって「知らないことが許されない」「知っていて当たり前」なことが莫大な量となった。日常の臨床業務が終えてから、情収集し、判断しなければならない情報量が異常な速さで増大し続けている。専門分野はもちろんのこと、専門外であっても、常に情報が書き加えられ続けている。電脳空間におけるフォアグラだ。情報提供サービスは、簡単に入手できるシステムを構築し、情報を提供し続ける。理事長,院長,教授,上級医は、24時間365日の自己的なガバージュを要求する。研修医たちは、自ら情報の入った鉄パイプを自分の口に差し込むのだ。
以前は、学会の準備と言えばスライド画面を作り、写真を現像し、業者にスライドの作成を依頼するものだった。「業者に提出したら修正ができないぞ」と上級医に圧をかけられながらも、業者に渡してしまえば「終了」「解放」だった。原稿とスライドの作成に時間がかかるため、学会発表の件数も限られていた。いまは全く状況が違う。
パワーポイントで作成する資料は、学会発表日の前日まで‐発表の数時間前まで修正が可能で、WEB学会は移動時間も旅費もかからないため、教授や上級医は気軽に学会発表を求めてくる。老医たちは、「この資料をここに入れて、この数値はグラフにして、このスライドとこのスライドは順番を入れ替えて、この検査結果は表示したあとに肝機能だけ色が変わるようにして」などといつまでも指示を出し続ける。もちろん、彼らはソフトの使い方など理解しておらず、指示を出すだけだ。彼らは専門医であっても、アプリ使用法は専門外なのだから。
そこそこ器用な研修医などがその要求に応えたならば、彼らは「いまの若者は簡単にできるものだ」と思い込む。思い付きで、「この地方学会にも発表しよう」「前回の発表に、先日のこの症例を加えて発表しよう」などと言い出す。「いまの若者は便利な機器を使いこなしているのだから、これくらいは簡単なのだろう。恵まれた環境でラクをしているなぁ」などと考えているのだ。


就業時間に行われる感情労働に加え、就業後にも拘束され、さらに自己研鑽という名目で私的な時間を削られ続ける。その結果が、鬱であり自死なのではないか?





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最終更新日  2024.05.19 14:18:17
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