少年ジャンプ~ディア・アネモネ
【低予算映画みたいだったなぁ…】
大画面のド迫力で楽しませるハリウッド映画が少年ジャンプなら、アネモネは少年チャンピオンかヤングアニマルに載ってる低予算映画って感じ。
ブレアウイッチやカメラを止めるなみたいな面白い低予算映画ってあるけど、雰囲気がそんな感じだったなぁ。多彩なカメラワークがなくて、単調なカメラワーク。場面に対する描き込みがなくて、暗い画面で誤魔化してる。バトルシーンを引き延ばして、上映時間の水増し。限られた舞台に、限られた登場人物。「ジャンプ持ってこい」じゃないけど、やっぱりジャンプで低予算映画を上映しても、あんまり受けない。「ジャンプ持ってこい」の巨人だって、ジャンプで連載してたら受けなかったと思うよ。
動植物の描写には拘っているけど、それが「このマンガを読み続けたい」「続きが気になる」「このマンガでしか受け取れないエネルギーがある」ってとこには結びつかなかった。
ヤシキカメレオンはインパクトあったけど、隠し玉にしすぎたかなぁ。
主人公とアネモネの関係も、定まっていないというか、伝わってこないというか、わかりにくいだけだった。
『ダーウィン進化論とドクターモローの島とを掛け合わせて、そこに最近の科学的知見を混ぜ込んで、B級低予算映画の雰囲気でマンガにしようとした』って意図だったのかもしれないけど、エンタメ部分にバトルを採用したにしては、バトル描写がいまひとつだったんだよね。もちろん、マンガ描写としては及第点だと思うけど、やっぱりジャンプのなかでは見劣りしちゃう。ワンピ,ヒロアカと同じ雑誌に載って、同じバトル描写ってとこでは無理があるかなぁ。もっと進化論オタクな部分に偏って、外連味たっぷりにトンデモ進化論&トンデモ生物学で楽しませる方が、「このマンガでしか摂取できない栄養素」を創れたと思うんだ。
っていうか、バトル必要だった?!
作者がバトルシーンを描きたかったの?バトルシーンで物語の水増しを図るにしては、無駄に画力を消費してなかった?
もっと軽妙な台詞のやり取りと、進化生物学オタク話で攻めたほうが、作画カロリーも抑えられたんじゃあないの?
良いたとえの作品が思いつかないけど、諸星大二郎の妖怪ハンターなんて、ハンターって題名のわりに全く戦ってないし、倒してないし、ハントしてないからね。あんな方向でも良かったのかもなぁ。