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PhantaZのワイヤークラフトblog

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June 2, 2005
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以前、このブログでワイヤークラフトはマイナーであると書きましたが、そのうちにカリスマとなるかもしれないクラフターがいらっしゃらないでもないですね。それは青柳啓子さんという方なのですが、何冊かの著書が出版され、NHKの「おしゃれ工房」やTBSの「はなまるマーケット」といったTV番組にも出演されているので、ご存知の方が多いでしょう。

青柳啓子さんは「ライフクリエーター」という肩書きで紹介されることが多く、ワイヤークラフトだけではなくてリース、ステンシルなどの達人でもあるそうです。料理にも造詣が深いんですね。
ここではそういったものについての内容より、むしろ社会学的分析というか、いわば記号としての「青柳啓子」について述べたいと思うのですが、ワイヤークラフトについてなら私もいくらかは語れると思いますので、その領域に多少触れながら書いていくのがいいんじゃないか思います。

はなまるマーケットのサイトでは青柳さんを“日本のワイヤークラフトの第一人者”と紹介しています。しかし、番組や著書で紹介されているのは、比較的多くの人が短時間で手軽に作れるような雑貨系中心のアイテムです。素材も柔らかくて形をとりやすく、女性の手でも扱いやすいアルミワイヤーが使われている場合が多いようです。
そのセンスやオリジナリティーは別にしてテクニックの面だけで考えると、現在私たちの目にふれるような作品だけでは必ずしも青柳さんが第一人者とは判断できないような気がします。もし、その程度のものだけだったら、技術的にもっと高い方はおられるような気がしないでもありません。

現在のところ青柳さんの活動は、作品自体によって何かを表現しようとするよりも、作り方の解説・指導であるように見えますが、それは彼女の創作の分野が純粋なアートではなくてクラフトであるからだと考えることもできるでしょう。でも、既に美術界ではグラフィックデザインを駆使したアンディー・ウォーホールや、落書きの様式をとったキース・へリングのように、従来の油彩・水彩・彫刻といったいわば王道を外れて創作活動してきたアーティストが大御所として認められる時代になっています。だからワイヤークラフトの作品が現代美術の世界で評価されてもおかしくはないのですが、青柳さんはそのようなアートとしての姿勢はとっていないようです。
それではサブカルチャー、つまりイラストレーションのようなポップな大衆文化としてのアプローチなのかというと、それとも少し異なるような気がします。
そして、もちろん単なる趣味の分野でのインストラクターとも違う色合いを感じるのです。

一時期までの過去、主婦の手芸といえば、たぶん洋裁や編物が主流だったのでしょう。しかし最近はミシンの売上が落ち込んでいると聞いたことがありますから、服作りに親しむ人たちは減少傾向にあるのでしょうか。自分の作った服を着たり、子供に着せたりするのはもうあまり、おしゃれでない時代なのかもしれませんね。ブランドやキャラクターといった高度市場社会に流通する商品を身につけることで、社会的存在としての自己を確認するのは大人も子供も同じで、そういう時代に手づくりの服を着るのは何だか貧乏臭く見えたりするのかもしれません。
そんなところに衰退の理由が窺えます。

まあ、それでもカルチャーセンターや習いものの教室は賑わっているようです。人間には食欲・性欲・排泄欲のように表現の欲望もあって、それを満足させる必要もあるのでしょうか。

しかし例えばジュエリーは工具を揃えるとなると、かなりのお金が必要で材料費も高くつきます。それから、独学でマスターするのは難しい。やはり教室に通って指導を受けなければ上達はおぼつかないですから、ハイソな階層か勝ち組の成金の奥様しか趣味にすることはできないでしょう。
その他の、例えばトールペイントなどにしても、道具や材料費、月謝など、かなりの負担を強いられるでしょうし、関係先から高いものを売りつけられたりしますw。やはり勝ち組でないとたいへんです。

しかし、“勝ち組”とはいえないが、かといって仕事をもっていたり家計のために必死になるほどの必要がなくて、子育て中心の生活を送っている主婦階層というのもあるわけで、彼女たちも、空いた時間には“人並みに”趣味の一つももってやってみたいと思っていることでしょう。
そういう時に、TVや本で見て覚えられ、それほどの修練を要せず、工具も材料費もあまりかからないワイヤークラフトを知れば、やってみたいと思う人が多いに違いありません。子供の頃、イベントやストリートでネームなど作って売る様子を見ている人もいるだろうし、けっこう興味をそそられるはずです。

しかし、青柳流ワイヤークラフトの魅力は、けっしてそれだけではないわけです。青柳啓子さんは単なる工芸の技術を教えるだけに留まらず、“ライフクリエイター”として、ライフスタイル全体がアートであることを提案します。
高価なものは買えないし、かと言って家の中が100円ショップのの商品ばかりでは淋しいと考える層にとって、これは福音と言えるでしょう。そこには自分なりに誇りをもてるクリエイティブなナウい生活があり、それなりのアイデンティティーを得ることができるのですから。


青柳さんの著書は「青柳啓子のナチュラルハンドメイド」、「青柳啓子さんのナチュラルな暮らしを楽しむヒント( 著者: 青柳啓子 | 出版社: 主婦と生活社 )」、「青柳啓子さんのようこそ!ナチュラルダイニングと、タイトルで“ナチュラル”が強調されているようです。かつて何度か唱えられた「自然に帰れ」というスローガンが、この時代にまた、見直されているのでしょうか。70年代に出たヒッピー的手作り生活のバイブル「地球の上に生きる」という本に通じるところがあるのかもしれません。かつて“ビューティフル”というキーワードもありましたが、基本的には今ふうの言い方でスローライフということになるでしょうですね。“ナチュラル”の第一番は自分の生活状態にとって不自然なお金をかけなくてもよいこと、一家の主がいつリストラされるかもわからない今、不要な出費をせずに楽しい生活を演出できるのは時代の状況に即しているわけでしょうか。

こちらに青柳啓子さんのワイヤーセミナーに関するレポートがありますが、

http://www.geocities.jp/babypinkvividpink/aoyagi.html

これは2004年06月12日に新宿の東京ガスショールームで行われました。
つまり東京ガスが企画したものでしょう。入場希望者は抽選で、凄い倍率だったということが彼女のカルト的人気を窺わせますが、入り口を通ると、そこは青柳さんの自宅から4tトラックで運ばれたさまざまなアイテムに彩られたブースになっていて、入場者は彼女の自宅に招待されたように感じる演出が施されていたようです。まさに青柳啓子という記号が象徴する“ナチュラルでアートなライフスタイル”、“青柳啓子さんのようなナチュラルな暮らしを楽しむ”というコンセプチュアルアートこそがファンの求めるものであることを象徴しているように思えます。







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Last updated  June 2, 2005 06:19:59 PM
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